■この記事のターゲット
・おしゃれで高機能なモバイルノートパソコン、タブレットをお探しの方
・Microsoft Surface Proシリーズの購入を検討中の方
・Microsoft 「Surface ProX」ってどんな感じ?と思ってる方
Surface Proに新ラインナップ「Surface Pro X」が追加されましたね!
2020年1月14日から日本でも販売開始されました。
今回の記事では、いつも最新デバイスの分解レポートを公開してくれているIFIXITさんから早くも「Surface Pro Xの分解レポート」が公開されていましたので、内部構造からSurface ProXをレビューしてみたいと思います!
僕は一般の方よりはパソコン製造業界に詳しい方なので、業界目線でコメントしていきます。
(ちなみに愛機はSurface Pro2017年モデルです)
まず早速結論ですが、
「Surface ProX」は、LTEを活用して常時インターネットに接続してビジネスにも活用するアクティブな用途なら買い
です!
普段使いとビジネス両方で活躍できる要素が詰まっています。
- 単純にPro7より画面が大きい 12.3インチ⇒13インチそれでいて大きさは変わらない(むしろ少し小さくなってる)
- LTEモデルでいつでもネットワーク接続(SIMカードは別途必要)
- ファンレスモデル(ファンの音がうるさくない)
- リペア性が向上しており、コスト抑制の意図が見える
特にSSDを換装できるようになったところは大きい! - Surface Penがタイプカバー(別売)に収納できる!
地味だけど見事な改良

詳細について以降述べていきます。


Surface ProXの主な仕様と価格おさらい
Surface ProXの主なスペックをおさらいします。
参考に右半分はSurface Pro7のものです。

主要スペックと価格表
■CPU

これまでのIntel Coreシリーズではなく、Microsoft SQ1と銘打った自社開発CPUを搭載。2020年10月にはアップグレードされたMicrosoft SQ2が搭載されています。

スマホなどのモバイル端末のチップで実績のある「Qualcom社」と共同開発しており、そのQualcomの「Snapdragon」というチップの流れをくむCPUです。
Surface ProXは「いつでもネットワークにつながるPC」として、明確なコンセプトを打ち出していることが読み取れます。
CPUの処理速度という点ではIntelの最新世代のCPU(Core i5にも)より若干劣るようですが、ネットワーク通信やグラフィック処理、省電力の面からこのCPUを採用したと思われます。
事実、あとで説明するバッテリーの容量はSurface Pro7よりも低容量・小サイズ化、そして冷却ファンレスというところで携帯性能に特化していることがうかがえます。
※2020年アップデートでバッテリー駆動時間が15時間にパワーアップ!
正直、Snapdragon搭載の機器を使ったことが無いので甲乙つけられないのが現状ですが、クソ重いイラスト作成や高画質動画編集、ゲーム用途でなければストレス無く動くことが予想されます。
ある程度イラストや動画編集頑張りたい人は、Surface Pro7のCore i7モデルでもいいのかもしれませんが、Surface ProXの実機で描画してみて感触を見てみてもいいでしょう。
ただし、Surface Pro Xを購入するにあたっては必ず知っておいて欲しいことがあります。
Surface Pro Xは、Intel社のCPUとは異なる設計のARM社のアーキテクチャーを採用したCPUを搭載しています。
ARMベースのCPUはAndroidやiPhone等のスマートフォンのCPUで広く使われており、小型低消費電力というメリットがあります。
しかし、デメリットと言えるかは使用環境や用途、アプリケーション次第ですが、以下のような特徴があります。
・現時点のIntelのCore i5シリーズよりCPUの処理能力としては劣る(Surface Pro7よりCPU性能としては劣る)
CPUがフル回転するような大規模プログラムや演算をするには、現時点はSurface Proの方が適しているでしょう。
・Intelベースの64bit版(x64)アプリを動かすことができない
Intelベースの32bit版(x86)のアプリは動作可能ですが、32bit対応アプリでは内蔵メモリを3GBまでしか活用できません。
ARMベースのWindows 64bitに対応したアプリであれば非常に快適に動くとされていますが、アプリの種類がIntelベースに比べてまだ少ないのが現状です。
しかし、IntelのCPU能力も頭打ち感が出始め、1社供給の弊害による世界的なCPUの供給難が現実になってきています。
PCやサーバー、スマホでARMベースのデバイスが増加しているのは事実であり、今後は脱Intelが加速し、主流になっていく可能性は高いです。
対応アプリや周辺機器も増えていくことは確実でしょう。
よって、過去の資産(デバイスやアプリ)にとらわれず、新しいデバイスやアプリで作業環境を構築していく人には大きな問題とならないでしょう。
ちょっと初心者には小難しい内容になるかもしれませんが、詳しく知りたい方は、ARMアーキテクチャーの観点からSurface Pro Xを分かりやすくレビューしている記事(外部リンク)をご覧いただければと思います。
■ディスプレイ
ディスプレイサイズはSurface Pro7よりも若干大きくなっています。
しかし、外周部の黒額縁部を狭くしたことで外形サイズ自体はほぼ変わりません。
インチ当たりの解像度はSurface Pro7と変わらないので、大きさのみの違いと思っていいでしょう。
■背面カメラ
背面カメラが10Mピクセルで4Kビデオも対応可能となっています。
個人的にはそこまで必要ないですが、キレイな動画をとりたい人にはいいかもしれませんね。
■SIMカードスロット
どこかのキャリアでデータSIMを契約して挿入することで、携帯ネットワークで通信が可能になります。
Surface Pro7では今のところラインナップに無いので、いつでもネットワーク通信したい方にはいいですね!
■失ったもの
・フルサイズUSBポート(USB Type-A)
・SDカードスロット
・3.5mmヘッドフォンジャック
いよいよ時代が変わり始めレガシーポートは消えていってますね。
外付けUSB HUBまたはBluetooth機器が必須になります。
Surface ProX モデル別想定使用目的
ここでは各モデル(メモリ、SSD容量)別で想定される利用シーンを挙げてみたいと思います。
メモリ8GB/SSD128GBモデル
メモリ容量としては、一般的なビジネス用途(Officeでドキュメント作成など)には何ら問題なく使用できるでしょう。
ただ、SSD容量が128GBと小さめです。
想定される利用シーンとしては、法人向けも含めたビジネス用途で
・デスクトップをメイン機として所有している人のモバイルサブ機
・大きなSSD容量を必要としない(クラウド利用など)人のメイン機
・定期的に外付けHDDやSSDに移しかえる程度のデータを扱う用途
といったところでしょう。
価格も最も安いことから、クラウドを利用する法人向け端末としての位置づけですかね。
個人利用であれば、2万円余り追加してSSD 256GBを選択するのが汎用性が高いように思います。
メモリ8GB/SSD256GBモデル
前述したように、メモリ8GBあれば一般的なビジネス用途(Officeでドキュメント作成など)には何ら問題なく使用できます。
SSD容量も256GBあれば、高画質画像や動画などの大容量ファイルを大量に保存するようなことが頻繁に発生しない限りは十分と言えるでしょう。
想定される利用シーンとしては、個人またはビジネスで利用する一般的な用途で
・家でも外でも使用するメイン機
・趣味レベルでイラスト作成や写真、動画加工する人のメイン機
という感じじゃないでしょうか。
おそらく、このモデルが一番の売れ筋となるでしょう。
メモリ16GB/SSD256GBモデル
メモリ容量が16GBあれば、よほど重たいアプリケーションを複数立ち上げる作業(3D-CAD設計、本職の画像や動画編集)でない限り事足りるでしょう。
想定される利用シーンとしては、本職も含めたイラスト作成や画像、動画編集など重たい処理を頻繁に行う用途で
・外で使用するサブ機
・個人利用レベルであればメイン機
として十分使えるでしょう。
3D-CADモデリングやプログラミングでも使えるでしょうが、いかんせん画面サイズが小さいので外出先でのサブ機として使うのが精いっぱいではないでしょうか。
メモリ16GB/SSD512GBモデル
前述のモデルからSSD容量が2倍になって、約4万円のプラスになります。
この価格差をどうとらえるかですね。
予算にも余裕があり、最高スペックにこだわる方であれば迷わずこのモデルを選択するでしょう。
実際にこのスペックを余すことなく使うのは、高画質画像や動画、イラストなどの大容量ファイルを大量に端末自体に長期間保存するようなクリエイターなどではないでしょうか。
ただ、将来的にOSのアップデートによるOSデータ占有率増や、4K・8Kといった超高解像度画像ファイルなどが一般化する場合を考えると、この先に何年も長く使っていこうと考えているのであれば一般的な用途でも選択肢としてはアリだと思います。
Surface ProXの内部構造の特徴

ここからはSurface ProXの内部構造の特徴についてコメントしていきます。
ここでの分解画像の引用元は、修理困難マシンの修理方法や工具などを紹介しているIFIXITです。
IFIXITではSurface ProXの修理困難指数を平均以上とランク付けしています。
Surface Proの「1点」に対して「6点」と大きな進化です。

0点:修理ほぼ不可能
10点満点:修理が最も容易
リペア性が良いという事は、製造原価を安く抑えることができるということです。
以前レポートしたSurface Laptop 3も同様の意図が見受けられましたが、過去の構造でよっぽど痛い目を見たんでしょうかね・・・。
それでは主な構造面の特徴について触れていきます。
SSDがユーザーで交換できる
ある程度知識が無いといけませんが、SSDモジュールが交換できる構造になりました。
Surface Pro7ではマザーボードにSSDチップが「はんだ付け固定」されているので交換することはできません。
Surface ProXでは容量UPやデータバックアップなど活用の幅が広がります。

IFIXITより引用
ファンレス、ヒートシンクサイズ小
発熱部品の放熱を行う「ヒートシンク」の面積はSurface Pro6より小さくなっています。

IFIXITより引用

IFIXITより引用
これはSurface ProXの発熱が従来より低めになっているためと考えられます。
そのため、バッテリー容量も小さくてすむために省スペースを可能としています。

安心のALLトルクスネジとクリップオンタイプケーブル
従来のSurface ProシリーズやSurface Laptop同様、ネジ締めは全てトルクスネジに。
トルクスネジは、十ネジや-ネジよりもネジ締めの力が伝わりやすく締結力が高いと言われています。

ケーブルの接続も「クリップオンタイプ」になっているので、Surface Goのような内部のコストダウンと製造不良のリスク増大ということは無く一安心です。

IFIXITより引用

スライド挿入タイプは、コネクタやケーブルの部品コストを抑えられますが
・ケーブルがコネクタの奥までしっかり入ったか分かりにくい
・コネクタの「フラップロック忘れ」や「半ロック」で接触不良が生じる可能性がある
という製造泣かせのデメリットがあります。
Surface ProXの総評
Surface ProXは普段使い(ドキュメント作成やWeb閲覧)、ビジネスユース(外出先でのドキュメント作成やプレゼン、コーディング)など幅広く使える1台です。
内部構造もこれまでのSurface Proシリーズの良いところは継承し、修理性をアップさせています。これにより製造コスト抑制と故障時の修理費用削減が見込まれます。
イラスト作成や写真、動画編集にどこまで対応できるかですが、クリエイター向けメイン機を保有しているのであれば、サブ機としても十分活躍できると考えます(もちろん用途によってはメインとしても使えるでしょう)。
基本的な考えとしては、
ドキュメント作成、Web閲覧、メール送受信をメインとし、SIMカードを活用して外出先でもアクティブに使用するならSurface Pro7よりも「買い」
と考えます。
ただし、ARMベースのCPUを搭載しているので、現時点ではIntel CPUのプラットフォームよりもアプリの選択肢の幅が狭まることは留意する必要があります。
それでも、これまでのSurface Proシリーズから大胆にプラットフォームを変えながら、構造的には使いやすいように堅実に進化している。
ARMベースのCPUを採用したことも脱Intelを見据えた挑戦的な意図があると思われます。
Surfaceシリーズの進化から目が離せません
おわり


コメント
ARMベースであることについて一切言及がないのはなぜ?
コメントありがとうございます!
なぜ?と問われると特に理由はないのですが、想定している読者層(パソコン初心者)に向けてはニーズが少ない部分というとこですかね・・・(笑)
その辺を詳しく知りたい方には、もっとマニアックな内容の他のメディアの記事の方がいいかなと。。。
このメディアでは、なるべくマニアックな内容を押し出さないようにしているのもありますが、
また、私はどちらかというと構造屋さんなので専門外で見当違いなことを書きたくないってのもあります・・・。
しかし、ご指摘のSurface ProXのハイライトのひとつであるARMベースCPUは、理解しないまま購入すると一時的にも後悔してしまう方も出てくる可能性は否定できません。
ご指摘を受けて記事に追記をいれました。
貴重なご意見誠にありがとうございました。