■この記事のターゲット
・育児休暇をとってみたいけど、自分の仕事のことで躊躇している男性社員
・育児休暇をとってみたいけど、職場から理解が得られるか不安な男性社員
■この記事で伝えたいこと
育児休暇をとりたいと思っているなら、とるべきです。
批判もあります。ちょっと後ろめたさもあるでしょう。
しかし、あなたとあなたの家族にとって貴重な経験となり必ず考え方の幅が広がります!
この記事では、ある会社で男性社員として初めて育児休暇・時短勤務を取得した僕の体験記です。
育休によって得られたことや会社の反応などからの気づきを共有し、これから育休をとろうとしている男性社員の参考になれば幸いです。
もちろん、これを読んで「育休取得はやめておこう」と思った方がいても問題ないと思います。
近年は男性の育児休暇取得も増えてきていますが、まだまだ理解が得られにくい会社もあれば、それぞれの企業で環境や文化も違うでしょうから円満に終われるとも限りません。
ちなみに2019年6月に厚生労働省から公表された「雇用均等基本調査」によると2018年度の育児休業取得者の割合は以下のようになっています。
徐々に増えてるとはいえ、まだまだ少数派です。
【育児休業取得者の割合】※有効回答数:3,795事業所
厚生労働省平成30年度雇用均等基本調査結果より
女性 : 82.2% (対前年度比 1.0ポイント低下)
男性 : 6.16% (対前年度比 1.02ポイント上昇)
断念する場合は、奥さんには「育休取得を考えたけど、育休取得すると○○というリスクがあるから断念する。本当にごめんね。」ということは伝えてあげてくださいね。
ちゃんと育児について考えていることを意思表示してあげるとあげないとでは、産前産後の心が不安定な奥さんの精神状態も変わってきますんで・・・。
育児休暇取得を考えたきっかけ

最初のキッカケは単純で、会社の総務部門から「育児休暇を取得してみませんか?」と提案があったからです。
この時、僕は第2子が誕生する前のことでした。(※2010年代前半)
また会社としては、「子育てにやさしい企業」として公的な認証を受けたいがために出産間近な男性社員に声掛けをしていて、なかなか乗ってくれる人がいなくて困っていたのです。
女性社員の育児休暇や時短勤務は「ほぼ100%」利用されていたようですが、男性社員は過去に例がなく、「男性社員の育児休暇取得」が公的な認証のための最終難関だったのです。
第1子誕生の時、僕は別の会社に勤めていました。
当時の妻は里帰り出産のため家を離れて、遠方の妻の実家で数か月過ごしたのちに家に帰ってきたので、僕自身は育児休暇取得を考えたこともありませんでした。
そして今回は、子育て環境を重視して妻の故郷へ移住(転職)した後のタイミングです。
そんな時に冒頭のような提案があり、正直言って深く考えずに
「まだ今の会社でしがらみもないし、これもいい経験になるか」
と個人的には即決。
総務の担当の方も
「ありがとう!会社としてサポートします!」
と心強い言葉をかけてくれました。
育児休暇取得の意思を伝えた時の妻の反応
会社で育児休暇の話をしたその日に妻に育児休暇取得の意思を伝えました。
最初は、

べつに無理せんでええよ
実家も近いし、二人目だしなんとかなるわ
と塩対応でしたが、

オレにとってもいい経験になると思うし、この時期の大変さを感じれるのもこのタイミングしかないから給料減るけどやらせてよ
と伝えました。

ありがたいっちゃあ、ありがたいから
そんじゃあよろしく頼みます
ということで、家族の了承は得ました。
「1か月間くらいは休もうかなー」とか色々考えを巡らせていました。
(ちなみに妻は半年間の育児休暇を取得)
育児休暇取得の意思を伝えた時の職場の反応
数日後、総務部門から伝え聞いた上司に呼び出されます。
上司からは、
「初めての男性社員育児休暇の第一号だし、仕事はなんとかするから任せといて」
と協力的な言葉をいただきました。つづいて、
「で、どれだけ休むの?」
となった時に「1か月くらい」と考えてることを伝えると、上司は明らかに困った顔をしていました。
世代が近くエンジニアとして尊敬できる上司だったので、正直申し訳ない気持ちになりました。
「そ、そっかぁ。じゃあ引継ぎとかしないとな・・・」
という話になりましたが、僕も申し訳ない気持ちから「休暇期間はちょっと再考します」と伝えました。
同僚たちは「いいじゃん!半年とか取って嫁さん孝行しなよ!」と協力的ではありました。
まあ、ほとんど個人プレーの職場だったので他人事と思ってたんでしょうけど・・・。
総務の担当と日程を検討する中で、総務担当から
「別に1日だけでも育児休暇取ってくれて、あとはしばらく時短勤務っていう手もあるから」
と言われました。
え?そんなんでもアリなんだ・・・
結局「時短勤務」メインにした
空気を読みすぎて今は若干後悔してますが、
・1日の育休取得と出産の特別休暇で1週間の休暇
・2か月間の時短勤務(朝30分遅く出社、夕30分早く退社)
という妥協プランにしました。
それでも男性社員で時短勤務も例がないですし、僕としても初めての時短勤務なので大きな決断であったとは思います。
妻には休暇が多く取れず申し訳ない旨を伝えましたが、察してくれて

それでも十分じゃ
男がやるには勇気がいることは分かるし、育休をとる男性社員が後に続けば十分価値があるじゃろ
との菩薩のようなお言葉・・・。
その後、第2子は第1子の難産から比べるとあっけなく産まれ1週間の休暇もあれよあれよと過ぎていきました。
時短勤務での僕の役割は
・長男の保育園送迎
・朝、夕ご飯の用意
がメインでした。
育児休暇・時短勤務を終えてみて

育児休暇と時短勤務を終えて、結果的に会社は公的な認証をもらうことができました。
それは僕にとってはどうでもいいことですが、この期間を過ごしたことはいい経験になったと今でも思っています。
その経験について触れてみます。
時短勤務してみて良かったこと
時短勤務の間は、すでに述べたように
・子供の保育園の送迎
・朝夕のご飯の準備
・買い物
などを担当しました。
もちろん、こんな当たり前のことは時短勤務でなくてもやってるお父さん達はいます。
そんなお父さん達からは「大した事じゃねーだろ!」とご指摘あっても仕方ないですが、それでも今まで経験しなかったことを「時短勤務」のおかげで経験できたということが良かったのです。
保育園の送迎に行けば、子どもや職員さんに覚えられてよく話をするようになりました。
他の保護者さんともつながりができました。
朝夕のご飯を作れば、一人暮らしの時に料理やってた感覚が戻ってきました。
(うちは嫁さんの料理のこだわりが強めなので、色々あって僕は普段は料理をしません)
スーパーに買い物に行けば食材の値段の相場を知ることができました。
ちょうどそのころ、赤ちゃんが原因不明の高熱で1週間入院することになりました。
検査のためにまだ産まれて間もない彼はあちこちに管を付けられてかわいそうだったのを覚えています。
当然妻は付きっ切りで、家には2歳の長男と僕だけ。
不安MAXでしたが、普段は母ちゃんとしか寝ない長男も夜は僕と二人でもすんなり寝てくれました。
適当につくったご飯を二人で食べながら、長男が
とうちゃんのつくったごはんおいしいね(^^)
と言ってくれました。照れ笑いしながら溢れそうな涙をこらえました。
(それ、お惣菜をあっためただけなんですけど・・・)
赤ちゃんの入院先は、ウチから見える大きな総合病院小児病棟でした。
長男を保育園に連れていくときに、小児病棟に向かって「おーい!」と手を振って出かけていたのは今となってはいい思い出です。
家事育児に専念するために特別に割いた時間から、この時期だからこそ経験できたことが宝物です。
妻の普段の大変さも遅ればせながら体感することができ、今までのふがいなさを反省することができました。
時短勤務してみて困った、悲しかったこと

この期間中、充実ばかりだったかと言えばそういうわけではありませんでした。
■経済的な面ではマイナス
時短勤務をすると、当然収入が減ります。
当然残業も無しなので、いつもより大幅に給料は少ないです。ある程度貯金がある状態にしておくことをおすすめします。
結果的には2か月間の収支はマイナスです。
しかし、これは予想できてたことだったので人生トータルでは得るモノの方が多かったと納得しています。
長期間の時短や育休取得時は、給料のシミュレーションを総務としておきましょう。
そこから経済的ダメージと、どこまで妻をサポートするか検討の材料とします。
■やっぱり批判する人はいて実際悲しかった
これは時短勤務が終了したあとの話ですが、他部門の幹部社員も含めて飲み会に行っていた時です。
僕としては割といい印象を持っていた他部門の部長から、僕の時短勤務に対して
「俺はなぁ、あれはやっぱり男としてありえんわ」
と言われました。
そこは「会社からの強い要望もあって・・・」と上司がフォローしてくれましたが、当然僕は納得いきませんでした。
いやいやいやいや、
会社が定めてる就業規則の権利を行使しただけだし、
そもそも「取ってくれ」と言われてるし、
そんなこと幹部社員が言うならそんな規則作らなきゃいいし
会社として認証受けようとか結局は体裁だけかよ・・・とノドまで出かかってました。
とても悲しい気持ちになったことは今も忘れていません(根にはもってないです)。
理解がない人は、一定数はいます。それは無視していきましょう。
あらたな気づきを得るために。
■会社はなんだかんだでアピールネタとしてしか考えない
ウチの会社は毎年、社内の「小集団活動発表会」というものがあります。
似たような会社もあるでしょうが、各部門の改善活動の成果発表をするという昔ながらの形骸化した儀式みたいなもんです。
僕の時短勤務終了の約1年後に総務部門が、この地域の製造業で初の「子育てにやさしい企業」としての公的認証を得たことを発表のテーマにするから個人情報(家族の写真など)出させてくれと頼まれました。
総務の担当者はいろいろとサポートしてくれたので、快く了承しました。
たしかに出した結果は大きな社外・社内アピールになると思います。
発表会終了後の各賞発表で、その総務部門は参加賞に終わりました。
最優秀賞はいつものパターンで現場の生産効率改善での人件費削減でした・・・。
結局この手の活動への会社の評価はこの程度のものだったんだと、当事者でもあった僕としては少し寂しかったです・・・。
手前みそではあるけど個人的には、このような若干タブーに切り込んだような活動を評価しないのであれば従業員はイキイキと働き続けることはできないんじゃない?
と思うわけで・・・。
世間を騒がしたこんなニュースもあり、まだまだ企業の意識は従業員ファーストではありません。
「夫が育休明けに転勤命令⇒退職」 告発ツイートでカネカに批判殺到
僕の育児休暇・時短勤務まとめ
いい事も悲しかったこともありましたが、まとめてみます。
・この時期でしか経験できないことが経験できて考え方の幅が広がる
・単純に嫁さんの負荷軽減と子どもとの絆アップが可能
ということで時短勤務やってよかったです。
一番よかったのは、
僕の後に続いて育児休暇を取る男性社員が続いている
ということです。
直近では最長の2か月間取った若いやつがいます。その彼にとって貴重な経験になるでしょう。
いちおう開拓者(パイオニア)としては、やった甲斐があったというもの。
もちろん一方では批判する人も一定数います。
それは自分ではどうしようもないので、そういう人は無視して実績を積み上げていきましょう!
そうすることで、どんどん社内の雰囲気が時代に合ったものになっていきます。
微妙な会社側の働き方改革のまえに、私たちの働く意識を改革して働きやすい職場づくりを主導してやりましょう!
おわり
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