【ラインを止めるな】安定稼働、精神的・時間的余裕の確保が製造品質確保に不可欠です

製造品質を確保するためのアプローチ仕事Tips

■この記事のターゲット
製造業の製造部門で働く人で、

・少ない製造不良率で安定した稼働をしたい
・ラインオペレーターの負担を減らしたい

といった課題を持っている方。

製造業企業の永遠の課題でもある「不良を作るムダの撲滅」

製造部門だけでなく、品質保証部門や技術部門など全社一体となって取り組むべき課題です。

・急な生産計画変動(部品調達難、人員不足)
・複雑化、高度化する製品、または生産システム
・短納期、低コストのトレンド

など、製造ラインの安定稼働を阻害する外的な要因は尽きません。

筆者である僕も複数社に渡って長年製造業に従事していますが、ハッキリ言って終わりなき旅じゃないかと思ってます・・・。

しかし、不良を少なく安定稼働するための理想論として最近こう思うようになりました。

製造ラインを止めるな

作業者の精神的、時間的余裕を奪いすぎるな

というものです。

「ラインを止めるな」というのは、問題が起きても製造を続けろという意味ではありません。

製造ラインを外部的な要因で止めるなという意味です。

「作業者の精神的、時間的余裕を奪いすぎるな」とは、作業者のペースに合わせろという意味ではありません。

作業者が正確に作業できる最低限必要な工数、自分の作業が与える前後工程への影響を考える余裕まで奪ってはいけないというものです。

もちろん言うは簡単、行うは難しです。

今回の記事では、僕が理想とする製造環境の一例として、先ほど述べた2つのポイントについて述べてみたいと思います。

この記事が、同じように製造業で奮闘している同志の参考になれば幸いです。

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外部要因で製造ラインを止めるな

製造ライン停止に影響する外部要因はたくさんあります。

製造ライン安定稼働の外的な阻害要因

・計画通り部品が納入されない
・家庭の行事、感染症患者増加などによる突発的な大量欠員
・量産後に多くのユーザーに影響する重大な設計問題が発覚
・設備の故障
・情報システムのダウン
・受注に波がある

まあ、よくある話です。

よく見てみれば、ほとんどが製造部門の責任ではないことが分かると思います。

部品欠品問題 ⇒ 調達部門の責任

大量の欠員 ⇒ 会社としての適切な人員確保の責任

重大な設計問題 ⇒ 開発部門、品証部門の責任

設備の故障 ⇒ 製造技術部門の責任

情報システムのダウン ⇒ 情報システム部門の責任

受注に波がある ⇒ 生産計画、製品企画、営業部門の責任

しかし、最終的にしわ寄せがくるのは製造部門。心中お察し申し上げます。

外部要因のライン停止で急に暇になってやることがない・・・と思ったら、計画遅れのリカバリーのために連日の残業&休日出勤。

そりゃあ急激な負担増ともなれば、製造不良(特にヒューマンエラー)もでますよ。
生身の人間ですもの。

プロセスの多くが機械化、電子化されていれば被害は少ないかもしれません。

しかし、どちらにしても急激な変化が伴うと、「想定していないトラブルが起きやすい」というのは経験的に感じています。

何が言いたいかというと、

不良の少ないモノづくりのためには、計画的に製造ができるように全社あげての活動が必要ということです。

当たり前すぎて恐縮です。

僕は、品証部門で長年働いています。

以前は、製造部門が出した不良に対して原因調査と対策を求め、一緒に活動してきました。

それは今後も続くでしょう。

そんな日々の中で、多くの不良の背景には急な物量変動、計画変更があることにようやく気付くことができました。

その責任は誰が取るのか・・・。

会社全体の責任ですね。

企業のトップは、急な物量変動が品質に影響することなんて分かっているはず。

それをある程度やむなしとするのか、急な変動を避けるべく売り上げを落としてでも適正な製造ペースを維持して製造品質を確保するのか。

方針は明確に共有するべきでしょう。

調達部門は、部品確保にあらゆる手を尽くさないといけません。

人事、総務部門は、非正規やアルバイトなど人材を確保しやすい環境を作っておく必要があります。

開発、品証部門は、量産前の製品検証で残留リスクを低くする活動に取り組まないといけないです。

設備保全部門は、予防保全を強化する必要があるでしょう。

情報システム部門は、古く複雑化した継ぎはぎだらけの脆弱な既存システムの刷新も進めなければいけません。

生産計画、営業部門は、安定した製造を行える納期設定と投入計画を少しでも意識すれば製造部門は大助かりです。


製造部門は、上記のような外的要因によるライン停止のキャッチアップで製造品質が悪化することを示すデータを採取してみてはいかがでしょうか?

非レギュラー作業者の投入数、残業時間、イレギュラー作業の発生回数と工程内不良率、市場不具合率の相関データです。

品質保証部門は、品質の責任部門。

外的要因で製造品質が悪化することが示せるなら、外的要因のリスクを下げる活動に品証部門も入り込めます。

製造部門も製造しやすくなるし、品証部門は品質が上がって安心、他部門もキャッチアップのためにバタバタしなくていいという絵にかいたようなWin-Winの関係です。

責任部門の責任を追及するだけ終わるのではなく、

「お互いがハッピーになるために頑張ろうよ!」というモチベーションで活動するのが理想的だと僕は感じています。

品証部門だけでなく、実際に困っている製造部門も一緒になって提起すれば会社全体としても無視できないんじゃないでしょうか?

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製造ライン作業者(オペレーター、リーダー)の精神的、時間的余裕を考えてあげる

生産性向上!出来高アップ!

今の製造業の多くは、生産性アップに躍起です。

生産性の向上は製造業にとって大切なミッションのひとつ。

ゴリゴリ生産性を上げることにフォーカスしたい気持ちも分かりますが、ここで少し考えてみましょう。

ロボットやITシステムを駆使した自働化を進めて省人に取り組む製造工場ならいいですが、単純に製造ラインオペレーターの作業スピードを速めさせるような生産性アップは要注意です。

作業には細心の注意が必要なもの、今まで目に見えなかった個々の製造オペレーターの気遣いで支えられていた製造品質もあります。

その領域を浸食するほどの効率化を安易に求めると、工程内品質悪化、市場クレーム発生リスクが高まるリスクが伴うことを認識しておかなければなりません。

例えば、マジメでアウトプットの質が高い製造ラインオペレーターがいるとしましょう。

コンベアでの流れ作業で、自分が行った作業が問題なかったか最終確認して次工程に引き渡しており、不良の流出防止を自主的に行っていました。

そんな中、ライン全体にオペレーターの動作速度を上げざるを得ないスピードアップを指示した場合にどういう反応が起こるのか?

以下は最悪のケースの例です。

①コンベアで通過するまでに作業が完了しない
 ↓
②ラインが止まる
 ↓
③ライン管理者から指導される or 自己嫌悪に陥る
 ↓
④ラインを止めないようにするために、今まで行っていた作業結果の最終確認を省略する
 ↓
⑤工程内不良または、市場クレームになる可能性がある状態のモノを後工程に渡すようになる
 ↓
⑥雑な作業に慣れてしまう or 後工程、お客様から不具合クレームを受ける
 ↓
⑦完成度の高くないオペレーターに成り下がる or 自己嫌悪でメンタルをやられる
 ↓
⑧オペレーターのアウトプットの質が下がり、評価が下がる
 ↓
⑨不満を溜め、モチベーションが下がる
 ↓
⑦へ戻る

もちろんこれは最悪のケースであって、ちゃんと管理者と掛けあって品質を確保した生産能力を模索できるようなオペレーター揃いならこんなケースにはならないでしょう。

でも、実際はそんなにうまくいかないのが現実。

人の仕事に対する考え方はそれぞれ。

精神的、時間的余裕があるうちは、考え方の差を埋めるココロの余裕があるので比較的安定した稼働を保つことができるでしょう。

しかし、

ひとたびオペレーターたちの余裕がなくなれば、他人のミスや能力不足をカバーできる余地がなくなります。

そして他人のミスや能力不足が引き金となり、余裕のない自分のミス(動作のミス、判断のミス)を誘発するようになります。

能力の低いオペレーターのせいにするのは簡単ですが、それは教育や適材適所を怠った組織全体の責任です。

そんな中で自分のミスを開き直って「できないものはできない」と割り切れる人は、まだいいほうです。

疲れ切った製造現場の方に腹を割って話をしてみると「なんとかして付いていかなきゃ!」、「自分は使えないやつだ・・・」と考えてしまう人も一定数存在することが分かりました。

ライン全体の余裕がなくなると、ラインリーダーの余裕も無くなります。

あちこちで発生するトラブルの火消しにリソースを割かれるため、品質を維持するための管理や現場改善をする時間が取れなくなります。

そして、品質悪化とオペレーターのモチベーション低下のスパイラルへ・・・。

そんな職場で働くのはイヤですよね。。。

これまでの業務経験の中で現場の生の声を拾っていくと、「理想は品質第一」だけど、実態は「納期最優先になっている」と感じている現場管理者が殆どでした。

一方で、安定した品質と出来高を確保できていたラインの特徴は以下です。

品質、モチベーションを確保しているラインの特徴

・オペレーターへの負荷が多すぎず少なすぎず
・ラインリーダー、管理者に人的、時間的余裕があり、管理や改善にリソースを集中できている

もし組織全体が「品質第一」を掲げるなら、オペレーターやリーダーの余裕を奪い、理想と実態のギャップを広げてはいけません。

理想と現実のギャップが大きいまま長期間放置すると、その現実が組織の文化になってしまったり、メンタル疾患者が増えたり、モチベーションが低い社員が増えたりする可能性が高いというのが僕の経験上から得た教訓です。

管理者には管理仕事に集中してもらうための余裕をとる、理想と現実のギャップを広げないためのアプローチをしていく必要があると考えます。

何が心の余裕をなくしている?
何が時間の余裕をなくしている?

現場の生の声に真摯に耳を傾けましょう。

まずは、現場管理者の管理監督するための心と時間の余裕を搾取する要因を分析し、確実に一つずつクリアしていけば現場管理者による自立改善が進みます。

つまり、製造部門を運営する立場の人間は、

「現場のことは現場で解決する」ための精神的・時間的余裕を与えるべき

ということです。

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さいごに

企業が提供する製品の品質の最後の砦は、製造部門です。

製造の現場では、品証部門や設計部門では想定できないようなトラブルが日々発生しています。

それでも、製造部門の泥臭い踏ん張りのおかげで、上流部門のミスを補って製品の出荷ができているのです。

これを理解したうえで、

製造ラインを他部門の責任で止めない

製造現場の心と時間の余裕を奪わない

そんな環境を用意してあげるのが、製造業の企業が品質を確保するためには、これらの環境を用意できるように日々の業務に取り組むべきではないでしょうか。

おわり


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