「品質」ってなんですか?製造業に従事する人の仕事の品質を定義する

■この記事のターゲット
製造業に従事する方で

・自分の仕事に求められる品質とは何か自問自答している
・自分たちが世に出している製品やサービスの品質について見直したい
・「品質を上げろ」って、何をどうしたらよいのやら・・・

今回の記事では、サラリーマンや自営業の人なら必ず意識する「品質」という言葉自体について述べてみたいと思います。

品質(Quality)とは何か?

あなたは誰もが納得できるように即答できるでしょうか?

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品質とは??

自営業の方なら直接自社の製品の世の中からの反応を感じることができるので、サラリーマンよりも「品質」に対して明確に答えられるかもしれませんね。

ひん‐しつ【品質】

品物の質。

goo辞書より引用


一般的に、品質とは長さや重さのように共通の物差しではかることはできません。

品質マネジメントの国際標準規格ISO9000的な定義で言えば、「本来備わっている特性の集まりが要求事項を満たす程度」だそうです。

品質工学では 「品質とは、品物が出荷後、社会に与える損失である。 ただし、機能そのものによる損失は除く」 とあります。

うーん。
分かるような、分からないような…(笑)

仕事の現場でよく言われるのは、

品質はお客様が決めるもの

確かにその通りだと思います。

直接お客様に接することがない部門で働いている場合は、自分の仕事のお客様は誰かという観点で考えながら仕事をすることで質の高い成果を出すことができると思います。

でも結局「品質」という言葉自体は、みんなが何となく分かっているけどフワッとした曖昧なもの。

しかし、自分の仕事への意識が高く、いかにアウトプットを届ける相手の気持ちを考えれるか…というように思える人には、ハッキリ言って「品質」の定義は必要ないと考えます。

「品質って何なんだろう?」と考えすぎて時間をかけるくらいなら、自分たちで決めてしまえばいいんじゃないでしょうか。

自分の仕事の成果を届ける先が喜んでくれれば、明確な定義なんて必要ないんです。
そもそも要求されるモノも時代と共に変わっていきますからね…。

とは言うものの、定義が曖昧でいいのは自由度の高い(自分の裁量でやれる)仕事に当てはまるのかなとも思います。

例えば工場の作業員のような、決まった範囲の「繰り返し作業を淡々とこなす人」および、そういう人の集まり(製造ラインなど)の場合に、定義が無くていいというのは暴論であるかもしれません

というように、品質は曖昧であったり、曖昧ではいけなかったり時と場所によって使い分けが必要です。
それでも、いろんな職業、業務によって「求められる品質が異なる」ことだけは明確です。

品質に対して、

フワッとしたまま終わらせたくない
人に言われるままでもいいから納得したい


というケースもあると思いますので、あえていくつかの仕事内容での「品質」を製造業に特化して、僕なりの言葉で表現してみたいと思います。

あくまで私見なので参考程度にしていただければと思いますが、腑に落ちてくれると嬉しいです。
もちろん考え方は製造業以外の人にも当てはまる部分もあると思うので参考に読んでもらえたらなと。

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製造工場のラインで働く人に求められる「品質」

設計通りの作業を正確に再現する
製造ラインオペレーターの仕事とは

■あなたの仕事
完成前の製品に、あなたの労働力で、決められたルールを守って、付加価値(加工など)を与えること

製造不良ゼロを追求すること(現実的ではないことは分かった上で)

■あなたの仕事の成果

設計で決められた範囲の誤差に抑えた加工物(半製品、または製品)

■直接的な「お客様」

次の工程、または次のオペレーター

工場の製造・生産部門は、設計部門が図面などで指示した範囲内の製品をリアル世界上で高精度に再現することが至上命題だと考えます。

作業者は、指示された(設計された)付加価値作業を自分の労働力を使って、製造のルールやマナーを守りながら確実に履行して、後ろの工程に成果物を渡すのです。

それが最終的にお客様が要求する品質に貢献することになります。

もちろん100万台の製品を作る上で1つの不良(設計指示範囲外)も出さないというのは現実的ではないので、ひとつの尺度として「不良率」が品質を左右する指標となります。

作業者起因に不良要因は、製造のルールやマナーを守らなかったことやヒューマンエラー(いわゆるポカミスなど)、ルールが不十分、ルールが無かった等が挙げられます。

これらの要因に対して、工夫を凝らして改善して品質を上げていく=付加価値作業の繰り返し精度と信頼性を上げることになります。
そのうえで、生産性の向上により加工コストを下げていくことも社内での重要なミッションです。

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製造業の営業マンに求められる「品質」

顧客のニーズへの適合度合いが求められる
製造業の営業マンの場合

■あなたの仕事
・顧客に対して自社製品の販売を行うこと、および新規顧客の開拓と顧客との信頼関係を構築して販売ルートを確保または拡大していくこと

・顧客の新たなニーズを探り出し、新製品を具現化するための情報を集める

■あなたの仕事の成果

売上高、利益、販売チャネル

■直接的な「お客様」

自社の製品・サービスのニーズに合ったお客様

製造業の営業マンは、社内での成果は売上高と利益、および複数の顧客と繋がるチャネルの確保であることは重々承知のことでしょう。

しかし、お金の面だけにフォーカスすることは顧客視点とは言えません。
あなたが営業をかけるお客様の立場になって、競合他社もひしめく環境下でどういう営業マンなら気持ちよく買ってくれるかを考え続けることが重要です。

会社対会社と言えども、相対するのは人と人。

その「人」も十人十色です。
さらに言えば「法人」も「人」と考えればこれも十人十色。

自分の信念に合わない顧客担当者に対しても、相手が喜んでくれるにはどうすればいいか真摯に考え、柔軟に自分の行動を変えていける人間が成果を残して行っている…
これまでの社会人経験上、そのように感じています。

お客様から見るあなたの会社の営業に求める品質とは何か

・納期通り製品を納入してくれる
・価格をできるだけ下げてくれる
・販売する製品やその業界に精通し様々な情報を与えてくれる
・アフターサービスがきめ細かい

・信頼関係を築きたいと思わせてくれる

全ての要素をハイレベルに実現する能力を備えていることがベストであることは言うまでもありません。
しかし、そうでないとしても相対する個々のお客様が何を重視しているかを知ることによって、喜んでもらうためにはどうすればいいかを考え、実行するだけでも大きな成果を上げることができるでしょう。

そのために切磋琢磨することが「営業の品質を上げる=顧客との信頼を築く」ことになると考えます。
目先のお金にとらわれず、自分の仕事の質を上げていけばお金の面での結果も自然とついてくるのではないでしょうか。

小さな実績を積み重ねていくと、知らぬ間に大きな成果になっているはずです。

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製造業の製造技術者・開発技術者に求められる「品質」

テクニカルな部分だけにとらわれないで
製造業の技術者の場合

■あなたの仕事
顧客のニーズ、困りごとを解決するための機能を持った製品やサービスを科学的知識、自然現象を組み合わせて具現化すること

人のチカラでは実現できない、または再現性が低い動作や思考を科学的知識、自然現象を組み合わせて実現、または再現性を高めること。そして高度に応用・発展していくための基礎研究を行うこと

■あなたの仕事の成果

・顧客の生活や生産活動に大きな変化をもたらす新製品
・知的財産の蓄積


■直接的な「お客様」

・自社の製品・サービスのニーズに合ったお客様
・まだ自分自身のニーズを把握していない潜在的なお客様
・量産する製造またはサービス部門

技術ってなんでしょう?
何となくイメージはできるのですが、正直言ってどこからどこまでを「技術」というのかよくわかりません(-_-;)

技術者としてのプライド・・・とかよく聞きますけど、特別すごいモノとも思いません。
ある分野の学術的な知識と応用力、実績で裏付けられた経験が「同じ分野の他の人とどう違うか」、または「違う分野の人より詳しい」という事実のみだと思います。

会社やお客様にとっては前述の製造オペレーターや営業マンと同様に、製品やサービスを送り出し維持管理する仕組みの一部にすぎません。

もちろん自分の仕事に誇りを持つことは大切ですが、技術者だからと言って社内での地位が上という訳ではないです。

逆に量産部門や品質保証部門、営業部門をお客様と思って、謙虚に技術的知見を活かして信頼性が高く価値の高い製品設計や工程設計をしなければいけません。

その中で求められる品質は主に

・顧客要求事項を満足すること(最低限+αの余裕)
・信頼性の高い製品設計、製造工程設計
 (壊れにくい、製造過程で不良発生しにくい)
・設計の脆弱な部分(リスク)を明確し、後の工程に通知できていること
・技術的な考察や実験データの蓄積


だと考えます。
要求事項への適合や信頼性の高い設計はおおよその技術者がやるべきこととして理解していると思います。

しかし、自分の設計では対処しきれなかったリスク部分を明確にし後工程に通知すること、技術的知見(ノウハウ)の蓄積まで考えている技術者は多くないように感じます。
製造を生業としている会社が将来にわたって営業を続けていくには、これらの質の高さも重要だと考えます。

ユニークな発明は、小さな積み重ねから偶然生まれると言われます。
目先の効率だけを求めたテクニックだけではなく、数年~数十年スパンに渡って担当者も変わりながら小さな発見を積み上げていくことが技術の質を高め、成功への近道となります。

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さいごに

ここまで述べてきたことは、筆者である僕の20年余りの社会人経験をベースにしています。

製造業複数社をエンジニアとして渡り歩き、様々な役割を経験した今だからこそ言えることです。ここまでの考えに達するのが速いのか遅いのか分かりませんし、現時点の考えも十分ではないと思います。

品質とは何か?という問いにストレスを溜めてまで考えこむ必要はありません。
若いうちから現実をありのまま受け止めて、自分の仕事に求められるものは何なのかを真摯に考え続けられる人は、オジサン世代をあっという間に超えるチカラを持つことになるでしょう。

今後も製造業のいろんな役割の品質について書き足していきたいと思います。

ここで述べたことが、少しでもあなたのキャリアの糧になることができれば幸いです。

おわり

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