クレーム報告書でゼッタイやったらダメなこと&その理由とは

クレーム報告書を書く上で絶対やってはいけないことタイトル

■この記事のターゲット
・お客様へのクレーム対策報告書を作成するのに意識すべきことって?
・クレーム対策報告書を精査、承認するのに意識すべきことは?
・お客様に信頼されるための対策の考え方を知りたい方

どんなビジネスにおいても、お客様に提供する製品の不良やサービスの不満足などによりクレームを受けることがあるでしょう。

会社としてクレームを受けると、原因を調査して再発防止のための対策を検討・実施し、その内容を報告書としてお客様に提出した経験がある方も多いと思います。

今回の記事では、「クレーム報告書に記載する対策内容で絶対にやってはいけないこと」とその理由をお伝えします。

細かいテクニック的な話ではありませんが、
僕がこれまで製造業エンジニア、品質保証部門を経験してきた中で、現時点で最も意識すべきことだと思っている事です。

早速ですが、クレーム報告書を書く上で絶対やってはいけないことは

現場で確実に、継続的に運用できない対策を報告すること

です。

至極当然のことすぎて、

「何を言ってるんだお前は?」

と突っ込まれることは承知の上ですよ。

しかし現実的には、

・現実を無視した「机上の対策」をぶち上げて顧客の温度をとりあえず下げておこう
・この対策をやれって言えば、現場はちゃんとやるだろう

というような意図で報告されたケースは山のようにあるのです。

実際にそういう報告をして罪悪感を持っていたこともありますし、取引先から同様の報告を受けて残念に思ったこともあります。

みなさんもそういう経験がありませんか?

以降で、このような報告をするのに慣れてしまうとどうなってしまうのか含めて詳しく述べたいと思います。

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クレーム報告で「絶対やってはいけないこと」とその理由

冒頭で述べた「現場で確実に、継続的に運用できない対策」とはどんなものなのか?

例えば、

・多大な工数をかけて何重ものチェックを行い、承認記録を残す

・工具の交換周期を1日⇒4時間おきに変える


・今後現場に導入する設備や工具すべて技術部門のレビューを行う仕組みにする

といったような、現場の負担が非常に大きくなるものです。

もちろん、言ったことをやれる組織もあるでしょう。

しかし、やれない組織もあるのが現実です。それはその組織に属しているあなたもよくご存じのはず。

やれない組織でも最初は形だけでもやるでしょう。

しかし、現場の管理が甘かったり、繁忙期でのゴタゴタであったり、人の入れ替わりが激しかったり、コストや納期優先のような組織では継続しないんです。

経験上、ほぼ間違いなく途中で挫折します。

人は怠けようとする生き物です。目に見えないところで管理の網を抜けようとしますが、それ自体は悪いことではありません。

でも、やると宣言したことをやらないということは、お客様に対して虚偽を述べたということになりますよね?

報告書作成時点ではウソをつくつもりがなくても結果的に対策が実施できていなければ、お客様はウソをつかれたと思われることに変わりありません。

近い将来、同じトラブルが再発してクレーム報告書を書くときに、正直に「ウソをついていましたぁ!」と謝れるとまだいいですが、ウソを隠すためにさらにウソの報告書を作るようになったらおしまいです。

ウソをついても最終的にお客様にバレないかもしれません。
ウソをつき通せば、「会社 対 会社」間では特に問題が起こらないこともあるでしょう。

では、ウソをついた組織の内部はどうなるでしょうか?

公に「自分たちはやります!」と言ったことを、自分たちの都合で平気でやめることに「何の抵抗も感じない」組織になります

現場の人たちの気持ちになってみると、みなさんこう考えるわけです。

Aさん
Aさん

めんどくさい指示が来たけど、守らなくても出荷、サービスは継続できるからテキトーにごまかしとけばいいや~

Bさん
Bさん

こちとら毎日ギリギリでやってんだから、現場をしらんヤツの机上の対策なんてやってらんねー

そして事務方は、その現実を見て見ぬフリをして外に向けての体裁だけは整えている・・・。
(なんかこんな組織って世の中にいっぱいありそうですね!)

そんな組織が永遠に社会の信頼を得られ続けられるでしょうか?

いつか、どこかで社会からの信頼を失うことになるでしょう。
最悪の場合、自分の働く場所さえ失う可能性がある・・・なんてことにはしたくないですよね?

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どんなクレーム対策を報告するべきか?

信頼を失う組織にしたくなかったら、まずは身の丈に合った「約束を守れる策」をクレーム対策とするのがベターです。

一つ一つやれることを確実に積み上げていく

結局これしか道はないかなと。

やれることを確実にやって結果が出て評価されれば実績になるし、組織のマインドも成長します。

徐々に高いレベルの製品やサービスを提供するための土壌が育ちます。

それでも「自分たちの身の丈に合った対策」に納得しないお客様もいるでしょう。

しかし、必要なコスト、これまでの実績、これで失敗したら次は高いレベルで対策を打つことを誠意をもって説明すればOKを出してくれる場合が殆どです。

それでも納得していただけない場合は、縁が切れることを覚悟で押し通すことも考えてもいいかもしれません。

当然、取引の規模が大きいお客様であればそうもいきませんよね。

そんな影響度の大きいお客様であれば、内部の組織に対して高いレベルの対策を遵守させる動機に十分なり得ます。

目の前の大事なお客様が離れてしまうぞ…

そんな大義名分を持って現場に指示をすることができるってわけです。

つまり、クレームの対策を考える時は

現場が納得して動いてくれる策を考えよう

ということです。

ちゃんと現場の状況も理解し、まずは最低限の負担増で製品やサービスの品質を上げるというスタンスが現場に伝わると、こちらの多少の無理なお願いも聞いてくれるのが日本人です。
(多分、欧米や中国では無理)

現場にも納得してやってもらった対策で再度トラブルが起こったのであれば、少なくとも次の再発防止のために高いレベルの対策を実践してくれるマインドになっているでしょう。

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ルールを破る人が悪い?ルールがないのが悪い?守れないルール自体が悪い?

クレーム報告で言及する「クレームの原因」についても少し触れておきたいと思います。

クレームが発生する原因は元をたどれば大体こんな感じになると思います。

クレーム原因の大分類

①決められたルールを守らなかった

②サービスが世に出るまでのプロセスの中で、あるべきルールが存在しなかった

例えば①の分類の原因のときに、対策として

「作業者のマインドやスキルが不足していたので教育・指導します!」

という対策では、お客様は内心「いつもの適当なパターンね」程度にしか思いません。

できたビジネスマンは基本的には人を責めません。責めるのは組織の管理体制です。

なぜ守れなかったのかを掘り下げて、

・教育の頻度や内容を見直す
・守らなかったら作業が進められないような仕込みを入れる

など、人間がルールを守れる環境づくりを対策にすることを見据えて原因の深堀をするとお客様への印象も良いですし、内部の組織の成長にもつながります。

②の場合は、ルールがないものはしょうがないので堂々と「あるべきルールが無かった」ことを報告して、新たに作るルールを対策とすればよいでしょう。

すでに述べたように、最もやってはいけないことはウソをつくことです。

原因調査結果も都合のいいようにウソをつかないようにしましょう。

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クレーム報告内容は組織の将来を見据えてしっかり吟味しよう

クレーム報告書は、お客様の信頼を失わないためのモノであると同時に、自分が所属する組織の体質にも影響するモノと考えましょう。

組織に対して何らかの指令を出せば、その組織の体質に見合った化学反応が起こります。

思った通りに行く場合もあれば、行ってほしくない方向に向かってしまう場合も長い目で見ればあるんです。

染みついた体質は良くも悪くも簡単に変えることができません。

たかがクレーム報告書と思わずに、組織の将来も見据えて内容を吟味すれば、お客様にも自分にも、自分の所属する組織にとってもプラスになることは間違いないと考えます。

ただ、そうはいっても理想通りに事を運べないこともあるのが現実です。

それでも、「最低限ウソをつかない」ことで組織の問題や課題が浮き彫りになってきます。
ウソやごまかしが蔓延すると、何が本当の問題なのかが分からなくなってしまうのはお察しの通りです。

問題や課題が明確になると、組織がどうあるべきかイメージしやすくなります。
同じイメージを共有できている組織は強いことは言うまでもありませんよね?

そんなことを考えながら報告書を作成し、報告した内容を定着させられる人間になれたら、その組織で必要とされる人材になっていることは間違いないでしょう。

細かい技術的な内容よりも、大局的な考えで報告書を作ってみると本当に面白いですよ!

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おわり

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