■この記事のターゲット
・業務マニュアル、手順書を整備するのがめんどくさい
・業務マニュアル、手順書があったって誰も見ないから作成する労力がムダでは?
と思っている方。
組織の中で仕事をしている方は、業務のマニュアル作成、手順書作成の場面に出くわしていることでしょう。
ビジネスにおけるマニュアル、手順書の目的は簡単に言うと、
多くの人が上記のように認識していると思います。
もちろんマニュアルや手順書は、「ない」より「ある」ほうがいいですよね。
でも、分かりやすく見やすいドキュメントを作成するのは骨が折れる・・・
実際に手取り足取り教えて体で覚えればいいじゃん!
作成、更新がめんどくさくて「形だけ存在している手順書」となっている組織も多いのではないでしょうか?
今回の記事は、作成に骨が折れる
マニュアルや手順書があった方がいいもう一つの理由
について述べたいと思います。
先に結論から述べますが、その理由は
責任の所在をハッキリさせやすくなるから
です。
以降で説明していきたいと思います。
マニュアルと手順書のちがいと共通する目的
ちなみにマニュアルと手順書の違いってなんでしょうか?
普段の生活や業務の中でハッキリと区別している人も少ないと思います。私もその一人です。
明確に区別しなければいけないわけではないので、言葉としては正直どちらも同じようなモノと思ってもらってもいいですが、以下のような区別をされるのが一般的です。
たとえば、ある人の規則正しい1日の生活を「マニュアル」化したすると、
朝6時に起きて身支度をする
↓
栄養バランスの取れた朝食を食べる
↓
7時30分に出勤する
↓
12時に食堂でヘルシー定食を食べる
↓
17時に仕事を終えて帰宅する
↓
18時帰宅後にお風呂掃除をする
↓
19時に油分を控えた夕食を食べる
↓
20時にお風呂に入る
↓
お風呂上りにストレッチを15分行う
↓
22時に布団に入る
のような全体の流れが分かるようなものがマニュアル。
手順書はこの中の一部を切り取って詳細のやるべきことを記載します。
例:お風呂掃除の手順書
①シャワーで浴槽とスポンジを濡らす
②浴槽用洗剤を浴槽にスプレーする
③スポンジで浴槽全体をまんべんなく洗う
④シャワーで洗剤残りが無いようにしっかりすすぐ
⑤スポンジの泡は落とさずに所定の置き場に戻す(菌の増殖を防ぐため)
上記の例のように区別はしてみましたが、マニュアルだろうが手順書だろうが、誰がやってもある水準以上のアウトプットを出せるドキュメントであれば言葉なんてどっちでもいいんですけどね。
必要なことは、
いつ
どこで
だれが
なにを
なんのために
どのように
行うかが分かるようになっていればいいのです。※5W1Hってやつですね
責任の所在を分かりやすくするためのドキュメント
ある作業において人によるミス(ヒューマンエラー)が原因で問題が発生した時を考えてみます。
マニュアルや手順書が整備されていた状態で、ドキュメントの指示を守らなかったことが問題だったとしたら直接的な原因は守らなかった人にあります。
もちろん、人間はミスする生き物なので人を責めれば全て解決するわけではありません。
根本対策をうつには、機械化、電子化によるポカミス防止をする必要があるでしょう。
しかし、
仮にあなたが、作業する人に守ってほしい手順を作成し、手順書に従って作業する人を教育をしていたのなら、少なくともあなたは説明責任を果たしていると言えます。
もうひとつのケースとして、
あるお客様が自社製品を購入した時に、説明書(操作マニュアル、注意事項等)を付属しなかった場合はどうでしょうか?
お客様の判断で想定外の取り扱いを行い、製品が壊れてしまった時の責任は誰にあるのでしょうか?
現代社会では、説明責任を果たさなかったあなたの会社側に問題があるとされます。
つまり、マニュアルや手順書といったドキュメントは、あるトラブルで責任問題に発展した時に
作成者にとっては自分の身を守る
利用者にとってはある範囲の責任を認めさせる
といった役割を持つことになるのです。
企業内では、マニュアルや手順書に基づいて指導した場合に教育記録をとることがあります。
お客様に出荷する製品には、「はじめにお読みください」といった表記でマニュアルを読むように促す記載があります。
これらは、自身が設計した工程や製品で想定外のオペレーション(操作や取り扱い)をされた場合に、
「ちゃんと説明したでしょ?それを守らなかったあなたの責任でもあるよ?」
といった意味があるのです。
今回のケースの場合、何度指導しても手順通り作業しない従業員、故意に破損させて金銭を要求する悪質なクレーマーなどに効果を発揮します。
手順通り作業しない従業員 ⇒ 懲戒処分に足る理由になり得る
悪質なクレーマー ⇒ 賠償請求に応じなくていい理由になり得る
あまりに理不尽な部分に対応するためのコストを捻出しなくていいように、保険をかけておくという意味合いがあるのです。
さいごに
今回述べた「マニュアル、手順書があった方がいいもう一つの理由」を聞いたら、ちゃんとドキュメントを用意しなきゃと思いませんか?
もし、そう思ってくれたら嬉しいです。
みんなに分かりやすく、見やすいドキュメント、手順書を作成するのはたしかに苦労します。
しかもドキュメントが無くても問題が確実におこるわけでもありません。
しかし、そのドキュメントが自分を守るためにもなるし、利用者の立場も考えながら作成することで質の高いアウトプットが提供できるメリットもあります。
マニュアルや手順書が無いということは、設計図面がないまま勘でモノづくりをすることと同じです。
人づてに聞いた作業を自らの経験と勘のみに頼った時に、繰り返し同じ精度で再現することが可能でしょうか?
誰かに作業を教えてあげるときに、その都度注意点や順番を漏れなく伝えることが可能でしょうか?
たかがマニュアル、されどマニュアル
という考えで、作成側も利用者側もドキュメントへの意識が少しでも高まれば、お互いが質の高いアウトプットを出せると信じています。
おわり
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