- この記事を読んでほしい人
- ・そもそも液晶ディスプレイって何?
・どんなディスプレイがいいの?
・解像度って何?
今回の記事では、
「パソコン初心者」に向けて、パソコン(特に得意分野のノートパソコン)の液晶ディスプレイについて分かりやすく説明をしていきます!
パソコン選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。(家庭用テレビの選び方の参考にも)。
・パソコン業界エンジニア10年以上の経験
・Microsoft Surface Proユーザー
・ゲーミングノートPCユーザー
筆者の視点からできる限り合理的に述べていきます!
ディスプレイ(モニター)はパソコンの顔と言ってもいい部品。
しかも利用していくなかで最も目にするモノなので、パソコン選びの際には気にする方も多いでしょう。
ノートパソコンを買いたいと思ってる初心者の人は、下記の内容で選べば支障はないです。
液晶ディスプレイってどんなもの?
「液晶」とは液体と固体の両方の性質をあわせ持った状態の物質のことを指します。
この「液晶」を光を通すまたは遮るフィルターとして活用し、要求する色を表現する表示機器を液晶ディスプレイ(または液晶モニター)と呼びます。
解像度ってなに?
よくテレビなどのカタログで「FHD」とか「4K」と記載されてるのを目にすると思います。
これらは解像度をあらわす呼称です。
解像度とは、画像の最小単位ピクセル(pixel)の画面当たりの個数を指しています。
下の図で解像度とピクセルのイメージを示します。
このピクセル数(画素数)が多いほど解像度が高いというように見えますが、表現する画面のサイズによっては粗く見えたり細かく見えたりするということは知っておいてください。
実際にはあまり意識しなくていいですが、厳密には1平方インチ(1インチ=2.54cm)あたりのピクセル数ppi(pixels per inch)が高い方が解像度が高いということです。
解像度(ピクセルの密度)が高いほど、画像を滑らかに表示することができます。
このppiはプリンタなどの印刷解像度dpi(dots per inch)と混同しますが、ディスプレイに関しては同義語と思ってもらっていいです。
一般的なノートPC(13.3~15.6インチ)であれば、FHDで十分です。
その理由は、この画面サイズでこれ以上の解像度では「目視での画像の粗さ」がよく分からないからです。
大画面TV(32インチ以上)だと4KとFHDの解像度の違いは顕著に感じることができるでしょう。
参考:光の3原色について
光の3原色という言葉を知ってるでしょうか?
光の3原色とは、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)のことです。
物質自身が発光するものはRGB3色を混ぜ合わせることで人間で視覚できるほとんどの色を作り出すことができます。
このRGB3色それぞれに、256段階の階調(色の濃さ)を持たせて1677万色の色を作り出すことができます。
カラーディスプレイは、この原理を利用して画像を表示するのです。
先ほどのピクセルの拡大図は実際には下図のように表示されますが、人間の目には白と黒に見えます。
ちなみに、色彩の3原色はシアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(yellow)です。
実際には3色を混ぜ合わせると黒が作れず「濃いグレー」しか作れないので、黒を作るためにブラックが追加されCMYKカラーと呼ばれます。
自身が持つ色素はこの4つの色で約1億色を表します。
プリンターインクでよく聞きますよね?
【豆知識】
ホコリが灰色なのは、様々な色の粒子が混ざり合うから灰色なのです。
知ってました?
液晶ディスプレイの構造と動作について
液晶ディスプレイの断面簡易模式図を上図に示します。
発光ダイオード(LED)を備えたバックライトからの光は、
光の方向を揃える偏光板⇒液晶の向きを変えるための透明な金属でできたスイッチ⇒光の透過・遮断を行う液晶層⇒透過する光をRGBに発光させるカラーフィルタ⇒さらに光の方向を揃える偏光板
を通して人間の目に入ります。
なお、カタログなどで目にする「輝度」とはバックライトLEDからの光の強さを表すものです。
パソコン用液晶ディスプレイは下図のようなシステム構成になっています。
パソコン側からバックライトの光の強さを制御させるためのバックライトLED電源に指令を、さらにどのような画像を表示させるかをタイミングコントローラに指令を出します。
タイミングコントローラーは、RGBそれぞれに入る光の透過または遮断のタイミングを制御するものです。
こうして光の透過と遮断をピクセルごとにコントロールして、求める画像を表示させる仕組みになっています。
液晶ディスプレイから見たノートパソコンの選び方
ノートパソコンのカタログに記載される液晶ディスプレイのスペックは主に以下の項目です。
・ディスプレイサイズ
・解像度
・輝度
・液晶の駆動方式
それぞれのスペックの特徴を記載します。
■パネルサイズ
一般的なノートパソコンの液晶ディスプレイサイズは12~15.6インチです(1インチ=2.54cm)。
このインチ数はディスプレイの対角線の長さです。
大きいほど画面が見やすい反面、重量が重くなる、消費電力が多くなる
小さいほど画面は見にくい反面、重量は軽く、消費電力は低くなる
持ち運びが少なく、机上で使用するメインであれば大きなもの。逆に持ち運びが多い用途だと小さめの物を選ぶといいと思います。
■解像度
解像度についてはすでに述べましたが、
解像度が高いほど滑らかな画像が得られる反面、高価になる
解像度が低いほど粗い画像となるが、安価である
一般的なノートパソコンであればFHDで十分ですが、メーカーは高い利益を生む高解像度のラインアップを増やしていますので選択肢が少ないかもしれません。
■輝度
最大輝度が高いほど明るい画面となりますが、消費電力が大きくなります。
ですが、今はこの輝度の高さをウリにした製品は少ないので気にする必要はないと思います。
■液晶駆動方式
液晶駆動方式とは、光を遮断する液晶分子の動かし方をどうするかというものです。
ここでは詳しく述べませんが、ノートパソコン用ディスプレイには大きく2つの液晶駆動方式があります。
(1)TN方式
画面を正面ではなく、角度をつけて視線を向けると色が変わって見える(視野角が狭いと言う)。
視野角は45°程度と狭いが、生産実績が多いため安価である。
(2)IPS方式
TN方式と比べ視野角が広く、複数人で同じ画面を見ても視認できる画像品質が変わりにくい。
その反面、高価である。
IPS方式のものが多く出そろい、価格も下がってきているのでIPS方式のモノで良いと思います。
■表面仕様
カタログには「ノングレア液晶」とか「グレア液晶」との表記がありますが、これはディスプレイ表面の光沢があるかないかの違いです。
光沢のある「グレア」では高級感がありますが、蛍光灯などの光の映り込みが激しいのでおススメしません。
光沢のない「ノングレア」をおススメします。
実際、メーカーから出荷されているノートパソコンのほとんどが「ノングレア」です。
それを分かったうえで高級感を求める方は「グレア」でもいいと思います。
■その他
タッチパネル搭載モデルについてですが、SHARPの液晶ディスプレイは画面から発生する電波ノイズが比較的少ない独自システムを持っています。
これにより、理論上タッチパネルの誤動作が比較的少なくなるのでシャープの液晶ディスプレイを使っているということが分かっているモデルであれば選択する価値はあります。
国内パソコンメーカーの13.3インチ以下の高解像度モデル(FHD以上)はSHARPのものを採用しているところも多いです。
【追加情報】
テレビでは先に述べたRGBの3原色以外に、白を追加したRGBWという方式のテレビが存在します。
これはメーカー側のコストメリットがある方式なのですが、高解像度対応の映画鑑賞などには不向きという評判を多く聞きます。
濃い色の再現性が低いという検証結果もあるため、留意してもらえればと思います。
今後の液晶ディスプレイ業界について
近年、比較的高い技術が不要な低解像度品では中国の低価格帯メーカーがシェアを大きく伸ばしています。
これに対抗するため、韓国勢(LG、サムスン)、日本勢(SHARP、ジャパンディスプレイ)利益率の高い高解像度品に特化しています。
しかし、中国メーカーも巨額設備投資で製造のオートメーションや技術開発を着々と進めています。
解像度は今後4Kレベルが普通になってくるでしょう。
(8Kはそれに対応するメディアがどれだけ出てくるか)
それでも業界的には「ある程度成熟してしまった液晶ディスプレイ」では先が見込めないため、有機ELディスプレイへのシフトを進めています。
その先駆けが韓国のLGディスプレイになります。
そして、中国メーカーも追随しようとしています。
有機ELディスプレイには、今までの液晶ディスプレイには無い大きな特徴があるため市場の拡大が進んでいくでしょう。
液晶ディスプレイから「構造」や「構成部品」がガラリと変わるため、サプライチェーンも大きく変わり良くも悪くも業界の起爆剤になり得ます(車業界で例えるなら、ガソリン車⇒電気自動車へのシフトと同じ)。
近い将来、液晶ディスプレイが少数派になる時代がやってくると思います。
有機ELディスプレイ(OLED)
OLED(Organic Light Emitting Diode:有機物質を使った発光ダイオード)を用いた、液晶ディスプレイとは全く異なる表示方式のディスプレイです。
液晶ディスプレイが、LEDから発光された光をスイッチにて遮断・透過するのに対して、
有機ELディスプレイは、RGBの発光体そのものが光を出す・出さないという制御をするものです。
■メリット
・薄いフィルム状で生産できるため、曲げてもOKな画面にできる
・バックライトや液晶層が不要なため製品を薄くできる、かつ消費電力が少ない
・黒の再現性が高い
■デメリット
・製造技術を確立したメーカーが少ないので高価である
・発光体の経年劣化で色味の変化が出る恐れがある
現在もテレビやスマートフォンには徐々に採用され始めましたが、ノートパソコンにおいてはかなり少数派で高価です。
現在ノートパソコンで有機ELディスプレイのメリットを実感できるようなモノは無いと言っていいので、当面は液晶ディスプレイモデルでいいと思います。
まとめ
現状で、液晶ディスプレイから見たノートパソコンの選び方についてまとめます。
おわり
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