【FMEAフォーマット例と活用事例】家族で水族館にいく工程の信頼性設計を解説する

工程FMEA事例水族館への家族旅行

この記事のターゲット
・FMEA(故障モード影響度解析)活用に向けて事例で理解を深めたい人

・FMEAを行うと「どういうことが分かり」、そこから「どうするべきか」を知りたい人


・家族の日帰り旅行プロセスの信頼性を上げて家族に満足してもらいたい人



過去記事ではFMEAの運用方法について紹介しました。



今回の記事では、身近な事例でFMEAを活用しトラブルの未然防止を図ってみます。

どういう観点で故障モードを抽出し、リスク評価した結果をどう判断するか解説していきたいと思います!

今回取り上げる事例は

家族4人で日帰りで水族館に行き、帰宅するまで

の工程設計を簡単に行い、リスク評価に応じた対策と設計意図を明確にしていきます。

それでは早速行ってみましょう!

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作りこむプロセスと品質を定義する

今回のプロセスが作りこむ品質は以下です。

【設定】
地方都市から車で片道約2時間の距離にある水族館へ家族4人(僕、妻、子ども2人)で行く

【作りこむ品質とプロセス】
・出発前からトラブルなく、
 ↓
・自家用車を使用して家族4人を退屈させずに水族館へ連れていき、
 ↓
・スムーズにイベントやショーに参加し、
 ↓
・ストレスなく昼食をとり、
 ↓
・土産物を購入して
 ↓
・夕食は簡単にすませるために惣菜を購入して帰宅する

最も重要視するものは

妻の機嫌

とします。

機嫌のいい妻
妻の機嫌がいいと家族も安定


妻の機嫌ひとつで家族の雰囲気が決まってくるので、影響度は妻の機嫌+家族の身の危険の尺度にしています。

家族のコミュニケーションを図り、妻の普段の苦労に敬意を表するためのサービスを作りこんでいきます。

「影響度」、「頻度」、「検出度」の3要素に対する対策の度合いは4段階とし、定義は以下のように決めました(4点法)。

FMEA3要素の評価点定義

影響度:故障モードの影響=妻の機嫌の度合いと家族の身の危険有無についての対策の度合い

発生頻度:故障モードを起こさせない対策の度合い

検出度:故障モードの影響を検知できる対策の度合い

「故障モード」は、機能(品質)を作りこむために設計したプロセス(工程)を逸脱する事象を指します。

「故障モードの影響」は分かりにくい言葉ですが、故障モードの発生によって起こりえる「作りこむべき機能の不良」です。

例えば、

「妻に、体のどこが凝っているか聞いて、凝っているところからマッサージをする」

というプロセスがあった時に抽出した故障モードの例としては

故障モード:体のどこが凝っているか聞かない(ポカミス)

となり、

故障モードの影響:「そこじゃない!左肩からやってよ!」と怒られる

となるわけです。

ちなみに

オマエ妻に対していつもビクビクしてんのかよ?

と思われても仕方ないですが、多少気は遣いますがいちおう仲良くやってますよ(^^;

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「日帰り旅行」工程FMEA事例紹介

出発1週間前に工程設計をし、その工程の信頼性を評価したFMEAシートを示します。

工程FMEA事例水族館へ家族旅行
FMEAシート記入例
(0点は平均値から除外しています)

リスクの度合いを示すRisk Index(RI)は全体平均で「2.2点」とおおむね良好ですが、以下の順でリスク箇所のレビューを行います。

①影響度が4点のプロセス:故障モードの影響=妻の不機嫌MAXとなる要素への対策を強化する必要があるか否かを検討

ここでは財布を忘れることが最もリスクが高いので、追加策として「クレジットカードを車のキーケースに入れておく」ことで対応できるようにしておきます。(水族館でクレジットカードを使えることはチェック済み)

これにより影響度が4点⇒3点になると見込みます。


②RIが3点以上のプロセス人の気づきに頼ったプロセスで、ポカミス(忘れ)、ヒューマンエラー(間違い、見逃し、思い込み)に脆弱。

妻や家族の不満がでる恐れのあるプロセス。さらに対策を適用できないかコストと実現性の面から再検討要。

ここでは、これ以上の対策はコストと手間がかかると判断し、RI「3点」の項目についてはこのままとし、常に留意するよう自分に言い聞かせます(製造ラインの場合だと注意喚起を掲示して作業指導するなど)。

ここが残留リスクとなるポイントです。
通常の製造工程であれば、後工程でのWチェックなどで保険を掛けたいところです。


③影響度が3点のプロセス:発生対策と検出対策は十分だが、可能であれば妻の不満が出た時に緩和できる策を検討。

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今回のFMEAについて解説

レビューは大変だけど資産になるよ

FMEAは、まずは設計担当者が作り上げ、有識者でレビューして追加対策の要否やあらたな故障モードの抽出を行って工程の信頼性を上げていきます。

今回は、自分ひとりで計画しているので相談した人はいませんが、同じ世代で痛い思いをしているパパさんと複数人でレビューすることでさらに新たなリスクや効果的な対策を立案できると思います。

今回の場合、このようなFMEAの結果となりましたが、もちろんこれで完璧であるかというとそういうわけではありません。

ですが、事前に工程を設計しFMEAを行うことの本質は以下です。

・設計者自身が事前に品質を作りこむために思考をフル回転させてレベルアップにつながる

・リスク箇所が数字で分かりやすいため、優先して対策すべき工程がわかりやすい


・今回残留リスクとして残して失敗した工程があれば、今以上の対策を盛り込まないといけないことが分かる


FMEAは

次のあらたな工程設計のレベルを上げるための重要な資産になり得る

という「設計ガイドライン」、「リスクの可視化ツール」も兼ねているということです。

もちろん最初から完璧を目指すことが望ましいですが、時間的・コスト的制約があるなかでは、メリハリを持たせた設計が必要です。

失敗した部分は、次回投資をしてまで対策するための根拠にもなりますので、社内の決裁も降りやすいでしょう。

そうしながら工程での故障モード発生対策と検出対策のレベルを、どんどん人に依存しないモノで一般化していき、投資や設計のサイクルを回していくと設計の信頼性はどんどん向上していくでしょう!

あのトヨタ自動車ですらリコールを都度出しています。
もちろんFMEAを活用していますが、FMEAは完璧を保証してくれる手法ではないことは分かっていただけると思います。

使い続けることで信頼性が上がっていくものと考えます。

工程1:事前準備の解説

FMEA事例解説1
事前プロセスのFMEA結果

事前準備プロセスのFMEA結果でリスクの高い故障モードは以下です。

・RIが3点の「旅行に対する十分な現金がない」
・RIが3点の「ウォッシャー液を気にしない」


■故障モード「旅行に対する十分な現金がない」
急な出費で現金が必要なケース(子供のケガ、急にほしいものが出てくるなど)に対応できるように、嫁さんにメールで必要金額+αを用意してもらうように連絡しておきます。

最悪、クレジットカードで乗り切れるようクレジットカードを用意しておきます。
(影響度:嫁さん不機嫌MAXを緩和する対策)

それでも、「十分な現金を用意しない」という故障モードの「発生対策」が自分の注意に頼るものなので、故障モードの影響「検出対策」も必然的に3点となり、RIが3点となり残留リスクとなります。
※発生したらその場で嫁さんに苦言を言われる状態になるから

■故障モード「ウォッシャー液を気にしない」
その他のバッテリーやブレーキパッドは法定点検で信頼性が担保されていると判断します。

ですが、ウォッシャー液はこの時点で残量が明確でないため、視界不良時にガラスをキレイにできないというリスクがあります。

これに対して、補充用ウォッシャー液をトランクに積んで置き、液切れを起こしたらすぐ補充できる最低限の対策をしています。

ただし事前に補充していないので、故障モードの「発生対策」が自分の注意に頼るものなので、故障モードの影響「検出対策」も必然的に3点となり、RIが3点となり残留リスクとなります。
※液切れ発生したらその場で嫁さんに苦言を言われる状態になる

工程2:起床~出発の解説

もっとも影響度が高い項目アリ

事前準備プロセスのFMEA結果でリスクの高い故障モードは以下です。

・影響度=妻の不機嫌MAX4点の「財布を忘れる」
・RIが3点の「AM8:00までに出発できない」

故障モード「財布を忘れる」
発生対策として「チェックリスト」運用するのでRI自体は十分低いですが、もしも発生すると影響度が高いので、クレジットカードと別項で記載のSuicaチャージで影響度の緩和を図ります。

ただし、財布を忘れたこと自体は苦言を呈されるので影響度は4点⇒3点に留まると見込んでます。

故障モード「AM8:00に出発できない」
これは妻の化粧などの支度で時間がかかり、子どもから急かされて妻がイライラしてしまうことを想定。

ここは自分が子どもの身支度を一手に引き受け、早く車に乗せてDVDでも見せて黙らせておくことにしています。

ここはすべて自分の気づかいによるものなので、RI3点となり残留リスクとなりますね。

残留リスクに対しては、ここでは追加対策せず自分自身に注意喚起して意識向上を図ります。

工程3:目的地への道中の解説

この工程はリスク低い

この工程は、機械化と僕の得意の気づかいで事前準備を済ませているので快適なサービスを提供できると考えます。

車内の快適さを提供するのは僕の得意とするところ。

ポイントは、暑がり寒がりの人が同乗したときに使えるブランケットを常備しておくことです。

妻は寒がりなので、よく子どもたちと温度設定でモメます・・・。

工程4:水族館到着~土産購入の解説

残留リスクは2つ

このプロセスのFMEA結果でリスクの高い故障モードは以下です。

・RIが3点の「AM10:00に到着できない」
・RIが3点の「写真撮影を忘れる」

■故障モード「AM10:00に到着できない」
ここはナビの到着時間予測をにらみながらの調整になります。

渋滞情報とあわせて迂回路を選択する、有料道路を使うなど状況に合わせた判断が必要。

こればかりは車を使用するからには避けられないところ。

父の腕の見せ所です!

■故障モード「写真撮影を忘れる」
これは「家族旅行あるある」です。

イベントに気をとられ、家族の行動に気をとられすぎて疎かになりがち・・・。

そして、妻からは「写真撮っとけばよかったのにな~」と後になって言われるパターンです。

ここではネックストラップでスマホを首から下げて、すぐに写真が撮れる状態にしておくことにしておきます。

これだけでは不十分とは思いつつ、これ以上の対策を思いつけません(^^;

いい方法があれば教えてくださいっ!

工程5:水族館出発~帰宅

この工程も信頼性は高め

この工程も、機械化と僕の得意の気づかいで事前準備を済ませているので快適なサービスを提供できると考えます。

ポイントは、

・帰り用の新作アニメ映画DVDを用意し子どもを黙らせる

・夕食は惣菜やお弁当を買って帰り食事の労力を減らす

・鍵を無くしたときのために、スマホ開錠デバイスとリアルのカギ2本を僕と妻でそれぞれもって紛失リスク分散


です。

ちょっと気をつかいすぎですか?

メンタル病んでもいけないので、「やりすぎだよ!」と思う方は連絡ください(笑)




しかしスマートロックは便利ですよ!

・外出先からスマホで玄関ドアのカギを閉めたり開けたりできる

・スマホをもって近づくだけでロックが解除される(ハンズフリーでカギを開けれる)


・合カギを家族に共有することも可能



日々の生活の「困った」を解決するデバイスがどんどん出てきますね。

あとは洗濯ものを畳んでくれるデバイスの量産に成功してほしいですね(笑)


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さいごに

トラブルの未然防止の手法としては、FMEAは悪くないツールです。

様々な書籍やセミナーでフォーマットや事例を紹介していますが、それをそのまま持ち込んで大きく品質が上がるものではないことは理解しておいてください。

あくまで信頼性を高めるための検討や議論をしやすくするツールにすぎません。

さらに、導入した会社でちゃんと根付くように、継続出来て有効に活用できるようにモディファイしたり、一部考え方を変えたりする必要もでてきます。

それが品質向上のために役立っていると胸を張って言えるのであれば、ISO/TS16949の監査員も不合格は出さないでしょう。

未然防止の精度が上がっていく仕組みにさえなっていればいいのです。

今回は、日帰り旅行を題材にしましたが、また別の題材でもFMEA結果を公開したいと思います。
少しでも理解が深まり、自社内でFMEAを活用して品質向上できますように・・・。

参考サイト:客観説TQM研究所

ちなみに今回の事例を通して学びました。

アレクサ(Alexa)があればさらに信頼性を上げられるな

と。

https://amzn.to/2pBcjcI



スマートスピーカーやスマート家電があれば人に依存しすぎない信頼性の高いサービスを提供できるってこと。

おわり

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