自信を失いかけたら思い出してほしい「品質保証部門の心得」

■この記事のターゲット

・社内での品質保証部の立ち位置がよく分からない

・品質保証部門として他部門との関わり方を明確にしたい



製造業に身を置く筆者は、これまでの社会人経験、品質保証の業務経験の中で、品質保証部門に対する他部門からのネガティブな意見をよく聞きました。


品質保証部門は、口うるさいだけで存在意義がない

技術的な知識もない、コスト意識もない役人組織
・・・etc

そんな言葉をしょっちゅう浴びせられると、自分の仕事のやり方が悪いんじゃないかと落ち込んでしまうこともありました。

ですが、今はそんなネガティブな言葉も受け流すことができています。

なぜなら品質保証部門で働くための核となる心得を持てるようになったからです。

その心得とは、

第三者としての立場を崩さない

というもの。

第三者なんだから堂々と客観的な意見を述べればいいし、技術的な専門知識がなくても仕方ないでしょ?というスタンスを確立する。

当ブログの品質保証部に関する記事の中でもそれとなく触れています。

今回の記事では、この「第三者としての立場を崩さない」について少し掘り下げてみたいと思います。

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品質保証部門が存在する理由

過去記事でも触れていますが、多くの企業の品質保証部門は製造部門やサービス部門から独立して存在しています。

この理由は、製造部門やサービス部門自体が品質を保証するには、客観性及び信頼性が薄いと考えられているからです。

「品質」という指標は定義があいまいになりがちであり、品質問題がただちに経営に影響しにくいものです。

一方で「コスト」、「納期」はすぐに数字になって表れやすく、短期的にクレームや売り上げに影響しやすい指標。

よって、製造やサービスの現場では「コスト」、「納期」にフォーカスしてしまう傾向となるのは理解できます。(もちろん品質にフォーカスしている組織もあります)

このような背景や各企業の風土や文化を考慮して、企業の経営者は「品質」、「コスト」、「納期」のバランスを取るため、客観性と信頼性確保のために品質保証部を独立した組織としているケースが多いのです。

つまり、品質保証部は「第三者的立場であること」を期待される存在なのです。

他の部門都合に合わせて右往左往する必要はありません。

堂々と第三者的な立場を徹底すればいいのです。

第三者として判断、決定するといっても悩むときもあるでしょう。
多くの場合、品質保証部は社長直轄の組織です。

判断に悩んだ時は、職制上の上位組織に判断を委ねることも立派な「第三者的な振舞い」だと思います。

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第三者的な立場で振舞うって?

第三者としての中立的な立ち位置

では、「第三者的な立場を徹底する」とはどういうことなのでしょうか?

品証部門の心得


利害が発生する当事者同士の主張を、異なる立場に立って客観的に把握し、より効率的に製品やサービスの質を高めていく方向へリードをしてあげる

専門知識のあるなしは本質ではなく、双方の事情や状況などの情報を整理し、客観的な判断を下す行為が本質的な部分です。


では、客観的な判断とは何に基づいて行えばいいのでしょうか?

まず第一に考えるのは、

「法(ルール)に則っているかどうか」

・国内法(または国際法)に準じているのか
・組織内で定められたルールを守っているのか
・組織で「やる」と宣言したことを守れているのか

というのは客観的判断の重要な要素です。

この状況だと法律を守ってませんよね?自分たちで決めたルールを守ってませんよね?
どうするのが妥当ですか?

という問いは最強です。


次に考えるべきは、

「統計データ等から妥当と判断できるかどうか」

つまり、確率論的により良い確率を選択することです。

統計学は学問として一般的に広く普及しています。これから決めようとしているものの確からしさを数字として表現するのは客観的判断には欠かせない考え方ですね。



下した結果が失敗に繋がるケースもあるでしょう。
しかし、その失敗にクヨクヨしないでください。

客観的に判断しようと試みていたのなら、職務を果たそうとしていたと言えるからです。
失敗を糧に次の選択に活かせばいいのです。

こんなことも分からないのかよ!

って言われても「分かりません。」と言えばいいだけです。
知らないことを知ってる風に振舞うのは何のメリットもありませんし、公正ではありませんよね。

知らない人にも納得できるように客観的に説明できない側にも問題があるのです。

例えば、お客様の立場を考えた時、お客様が製品やサービスの知識に精通してない場合が多いでしょう。

品質保証部門は、そんなお客様の立場にも寄り添える第三者として、双方の主張が法に準じているのか、統計的にどちらが妥当かといった客観的な判断ができればよいと考えます。

もちろん品質保証部門も技術的な専門知識を持っていると良いですが、専門的な知識がないことを憂う必要もありません。

知識がないなら知識がある人を頼ればいいのです。

品質的にお墨付きを与えるに値する判断材料を集めるのが本質的な部分。

何を集めればいいのか分からなくても、堂々とピュアな第三者として先輩や上司、専門家などに助言を求めればよいのです。

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より良い第三者的な判断ができるように

品質保証部門は、「品質」について第三者として客観的に判断し、その判断に沿うように組織を導くことが仕事と言っても過言ではありません。

もちろん、第三者として判断すると言っても、なんでもかんでも無責任に判断していいわけではありません。

責任のない第三者であれば、その辺の街ゆく人に判断してもらった方が余計なコストがかからないですからね・・・。

利害関係にある者同士(例:お客様と製造メーカー)が「許容できる範囲の品質」となるような判断、指導を行うプロが品質保証部門。

そうは言っても利害関係にある者の双方が、100%納得できる状況を作り出すのは難しいです。

よって法や理論を駆使し、時には情緒的に「ある程度譲歩してもらって許容してもらう」必要があるのです。

だから、我慢した側にとっては冒頭で述べたような

品質保証部門は、口うるさいだけで存在意義がない

技術的な知識もない、コスト意識もない役人組織

と思われてもしかたない・・・。

経験が少ない品質保証部門は判断を誤ることも多いかもしれません。

失敗を真摯に受け止める。

そして、次に同じ失敗を繰り返さないように、

・なぜ失敗したのか、どうすればよかったのか振り返りを行う

・精度の高い判断ができるような手法を勉強する

・必要な情報をすぐに入手できるようにする

・関連部門との信頼関係を構築する

・専門知識を勉強する

といった努力を行えば、間違いなく判断の精度は上がっていくでしょう。

判断の精度が上がっていくと、利害関係者からの信頼を集めることにも繋がります。

企業内の最強の第三者として腕を磨きつつ、堂々と公正・公平な判断ができるように頑張りましょう。

おわり

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