この記事では、
- この記事を読んでほしい人
- ・中国人の同僚とどういう風に付き合っていったらいいだろう?
・これから中国人とビジネスを始めようと考えている
かつて日本国内の職場で中国人の同僚と働き、多くの中国長期出張などで多くの中国人と 接してきた僕の「中国人観」について触れてみたいと思います。
今や中国は日本を抜いてアメリカに次ぐ世界第2位の経済大国です。
経済成長率は鈍化してきたとはいえ数年前の中国のイメージとは全く違い、どんどん新しい技術を取り入れて目覚ましい発展を遂げています。
各メディアでは、中国のGDP(国内総生産)は2030年までにアメリカを超えて、世界一の経済大国になることが予測されています。
近年、日本と中国は経済的には相互依存の関係となり、かなりの 年月が経過しています(アメリカとの貿易摩擦の影響がこれからもっと出てくると依存度が下がっていくかもしれません)。
ただ国対国レベルでは、「歴史認識」や「南沙諸島や尖閣諸島での領土問題」、「人質外交的な振舞い」など日本人側から見れば不信感を抱かせるような振舞いを見せています。
このような結果から、
日本の中国に対する意識調査では「よくない印象」「どちらかといえば良くない印象」と答えたのは約91%(引用:2021年日中共同世論調査)と、否定的な割合が高く見えています。
ところで、
ビジネスパーソンを含め日本人はどこまで「中国人」を知っているのでしょうか?
日常生活でほとんど中国の方と接する機会がなければ、観光客の行動やニュースの報道から
・マナーが悪い
・自分本位な考え方をする
・平気でウソをつく
などネガティブなイメージを持っている方も少なくないでしょう。
実際に僕もそういうイメージを持っていたことは否定しませんし、そういう一面もあると思います。
しかしながら今後も(余程の脱中国政策でもない限りは)中国企業や中国人の同僚と仕事をする機会は否が応でも増えてくるものと思われ、 彼らをもっとよく知ることでお互いうまくコミュニケーションをとる必要があります。
僕もよく仕事で仲良くなった中国の方から
「てるまえさんはモット中国人のこと知らないとダメダヨ~」
と言われたものです。
現在の僕の「中国人観」は、
- 非常に合理的(ビジネスライクな考え)
- 自分の想いは強く主張する
- 自分のやるべきことはどんな手を使っても結果をだそうとする
- 家族のことをかなり大切にする
効率的で自分のことはしっかり主張し、交渉上手で家族を愛するというようなポジティブなイメージも彼らに持つようになりました。(場面によりネガティブに捉えられることもありますが)
以降で、そんな彼らの特徴や接し方について、いくつかの事例も交えながら述べてみたいと思います。
(経験上の傾向分析ですので、「すべての中国人が」というわけではないことはご了承ください)
中国人はそう簡単に謝らない
私の知る限りでは、中国人は自分に非があってもそう簡単に謝りません。
いろんな言葉で言い訳をしてきます。
多くの日本人のようにすぐに「すみません」とか、妥協して折れてくれるような場面は殆ど経験したことがありません。
決して「頑固」とか「根性曲がってる」とかではありません。本人も自分に非があることを分かっているのですが、何の悪気もなく「素」でこうなのです(仲の良い中国の方々の談)。
すぐに「他人のせい」や「タイトなスケジュールのせい」など責任転嫁をします。
これは、簡単に過ちを認めると徹底的に付け込まれる環境で育ったことが要因としてあげられるそうです。
また、法律違反による処罰も情状酌量されにくいという国内事情もあるかもしれません。
これに対するには、
謝罪の言葉は期待せずに、こちらの主張を冷静にそして論理的に話し「僕はこう思っている」ということを分かってもらうよう注力しましょう。
謝罪の言葉を引き出そうとするのは、はっきり言ってムダです。
そうすると、大抵の中国人は徐々にある程度の行動の変化があります。
また、そうやって自分の主張を堂々と言う人には一目置いてくれるようになってきます。
中国人は自分に利益がないことには本当に無関心
中国人は基本的に自分の利益にならないことには無関心です。
これは仕事の役割分担がはっきりしているからです。
日本的なチームで助け合いというのは少ないように見えます。
日本国内の職場の中国人同僚に、他のメンバーのサポートを頼んだ時に
「これは僕の仕事じゃないのでできません。」
という言葉をよく聞いたものです。
これに対して「みんなもやってるんだから」という日本的な諭し方は通用しません。
「みんながやれるなら僕以外の誰かに頼んでください。」
と真顔で言います。
これも心象を悪くするように聴こえますが、たしかに間違った切り返しでもないですし、やはりこれも彼らは何の悪気もなく「素」なのです。
日本的な「場の空気を読む」ようなことはしません。
これは欧米もそうですが中国でもジョブ型雇用が一般的とされ、社員は募集する職務の契約書に詳細に書かれた内容のみを自分の業務とし、この成果に見合った報酬を受け取るという風習があるためにこのような発言になると考えます。(ある業務範囲に見合った人材に焦点があたる)
年功序列という風習は少ないため、キャリアアップとして転職をしていくこともよくあります。
対して、世界的にも珍しいメンバーシップ型雇用が主流の日本では社員は組織に配属され、会社の命によってさまざまな職務をしなければいけません。(転勤や異動なども会社主導)
メンバーシップ型雇用では、人は会社の都合で業務を割り当てられます。
年功序列と引き換えのようなものかもしれません。
また、組織として秩序ある行動をとる場合が多いように思います。
いい例ではないかもしれませんが、残業で残っているチームメンバーがいると日本人は自分だけ帰りづらく、手伝おうとしたりしますが、中国人同僚は挨拶もなしにスパッと帰ります。
ただ、自分の仕事でトラブルがあると残業しまくってでも一人でやり遂げようとします。
自分の仕事以外に関心を示さない中国人に対しては、「事前に細かく業務範囲を規定して合意を得ること」と「これをやるとあなたにはこういうメリットがあるということをしっかり説明すること」、もし仕事内容を誰かと代わる時は「引継ぎ完了までを業務」とするようにしてください。
でないと、すでに次の業務に興味が行ってしまい引継ぎをやらなくなります。
日本人的な暗黙のルールは通用しないと思ってください。
中国人は面子(メンツ)を重んじる
これはよく聞く話ですが、中国人を大勢の前で叱る、または大勢の前で本人に知らせてない事を通知しないほうがいいです。
中国人は面子を重んじます。
日本人の考えるようなレベルでの面子ではありません。
面子をつぶすということは彼らにとって自分を全否定されるようなものだそうです(これも実際に中国の方に聞いた話です)。
下手するとずっと恨まれて無視されるようになります。
僕の場合は、チームの席替えをチームリーダーの権限で席替えすると宣言した時に「ここまで反発するか?」というくらい顔を真っ赤にして「僕は聞いてない!イヤだ!なんで勝手に決めるんだ!」を連発しました。(これは僕も失敗でした)
また別件では、僕の中国出張時に同行していた別の日本人が、大人数が揃った現地取引先に向かって思いっきり強い口調でダメ出しをした時がありました。
あとでその取引先工場長から
「ああいう場であのようなことを言うな。社員が付いてこなくなる。言うなら私だけに対して言ってほしい。」
と苦言を呈されていたこともありました。
もし現地企業の機嫌を損ねるとソッポ向かれてしまう可能性があります。日本経済はかつてのような勢いは無くなっており、中国側も気に入らないことがあると他国のお客さんに顔を向けてしまうようになります。
しかし、言うべき時はしっかり言わなければなりません。
そういう時はキーマンと個室でマンツーマンで叱咤激励するようにしましょう。
中国人は権力者には従順である
中国人は権力を持った人には簡単に従います。なぜか?
答えは簡単で、
権力者は自分に不利益を与えた人間に容赦なく制裁を科すからです。
(会社であれば、クビや減給、左遷など)
自分の利益を優先する中国人は、自分の利益を左右する権力者に非常に敏感です。
そして権力者もこれをよく知っていて、権力を使いながら良くも悪くも自己中心的な人たちを統制しています
言うことを聞かないときは、直属のボスを使って攻めましょう。
ただし、権力の弱い幹部だと部下から思いっきり舐めらてますので、どのレベルにエスカレーションするか見極める必要があります。
中国人は家族を本当に大切にする
これはどこの国でもある程度言えることです。
その中でも、中国ではかつての「一人っ子政策」により一層家族の結びつきが強いようです。
親や祖父母はその一人っ子を精魂込めて可愛がり育てます。
子供も親や祖父母のとてつもない愛情を受けて育ちます。
その結果、強固な家族関係が出来上がり困った時は全身全霊を上げて助け合います。
これ自体には見習うべき部分も多いです。
もし、彼らと家族に近いような関係を作り上げたらそれは心強い味方になるでしょう。
そのような関係になるには、お互いの主張をぶつけ相手を認めあい長い月日をかけるしかないのですが・・・。
中国人が本気になった時のパワーはすごい
彼らは合理的で、行動力があります。便利だなと思ったものはすぐに使い「あっ」という間に拡散します。
社会インフラがいい例です。
We chat payやアリペイのようなQRコード決済や個人間の電子マネーの交換などは現在は当たり前に利用されています。
めちゃめちゃボロい雰囲気の店舗でもQRコード決済に対応しています。
この他にいわゆるUber的な「滴滴Taxi」など配車サービスもそれなりの都市部では当たり前のように行われています。
出張で行くとこのような便利さには少し驚きます。
彼らは欧米先進国のように全く新しいテクノロジーをバンバン生み出すというよりは、世に出たばかりのテクノロジーをいち早く取り入れ、模倣して低価格で拡散するという手法であることはある程度知られたことでしょう。(かつての日本がそうであったように、アメリカが懸念を示すのも分からないでもありません)
このように中国人は便利なものは使い倒して便利な生活をどん欲に求めていくパワーがあります。
かつて僕の職場の中国人同僚が結果を出した時にチーム全員の前で褒めてあげたら、ガッツポーズして喜び、その後の仕事も高いパフォーマンスを示してくれました。
仕事で彼らのパワーを引き出すには、彼らを認め、良い結果を出した時はみんなの前で褒めてあげ、それなりの報酬を提供することでさらに頑張るようになります。
彼らから信頼を得ることにもなります。
少し気を付けないといけないのは、限られたリソースを自分の成果のためにだけ使いがちになるので管理者はバランスをとる必要がありますのでご注意を。
中国では本当に男女平等
中国に行くと本当に男女平等だなと思います。
女性の管理職は多いですし、女性が男性と取っ組み合いの喧嘩をしているところを見たこともあります。
今どきはそうではないですが、日本では家事は女性がメインというイメージがあると思います。
中国では男性も仕事をしながらしっかり家事をこなすのです。
個人的には、結局「強いか弱いか(権力があるかないか)」でそれぞれが立場をわきまえて行動しているのではないかと考えます。
中国人女性に対しては、外見や装飾品を褒めてあげつつ(←これも大事)も、言いたいことはしっかり言わないと舐められてしまいます。とにかく平等に接してあげることです。
さいごに
日本人からすると、ちょっと付き合いにくいような感じを持たれる方もいると思いますが、味方につけると 非常に情に厚く、実行力がある心強いパートナーになります。
これは中国人に限った話ではないですが、彼らと上手く接していくには
彼らの特性や育った背景を知り、我々とは違う多様な考えを認め、良いことも悪いことも伝えたいことはしっかり伝えること
に尽きるのかなと思います。
ただしこれらは個人にあてはまることであり、国や行政単位では過渡の信頼は禁物です。
国とつながっている企業は正直裏で何をしているかわかりません。これには最高権力者の影響もあるということは 心にとどめておく必要があります。
(実際は定かではありませんが、アメリカが懸念し近年衝突が起きているような案件もありますので)
利害が絡む交渉などでは彼らは色んな手を使ってきますし、でたらめを言うこともあります。
こちら側が安易に妥協すると向こうに大きな利益を与えることになるので、こちら側も吹っ掛けるくらいの勢いが必要であることも忘れないでください。
あなたの中国人のイメージはどうですか?これを聞いて変わりました?
おわり
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