この記事は、疲弊している製造業の品質保証部員に向けたものです。
日本のモノづくり企業の原点は「高度な技術」と「高い品質」
しかし、昨今は中国や韓国メーカーの台頭に加え、日本国内でも技術やマインドの継承・発展がうまくいかず、かつては世界一とも言われたモノづくり力も過去のものになろうとしています。
低価格、短納期のトレンドのうえに人手不足と人材のレベル低下により多くの製造現場では、目先の売り上げにフォーカスすることによる悪循環で衰退していくのは「盛者必衰の理」なのか・・・。
そのため、ここ数年は大企業といえども偽装やデータ捏造・改ざん等による問題が取り沙汰されています。
そんな企業の品質保証部が疲弊しているのが目に浮かびます・・・。
逃げちゃダメだ・・・逃げちゃダメだ!
今こそ品質保証部が、会社の技術開発陣や製造陣の品質マインドを高めて「より良い製品やサービス」を生み出すための体質に変えていこうじゃないですか!
そのためには自部門の役割と自分の信念をハッキリさせないといけないので、過去記事を参照して行動規範イメージしておいてください。
この記事では、品質保証部員が「品質第一の信念」と共に社内でバトルを繰り広げるための想定問答を記載します。
主張を分かりやすくするため、あえて嫌われても仕方ないキツめのやりとりにしてますが、賢明なあなたはもっとスマートに対応できるでしょう(笑)
それではいってみましょう。
品質保証部の逆襲だ!
【vs他部門管理職】「そんな手間のかかること現場に定着しない」って?手間かけずに品質が上がるなんて都合のいい話は無いですよ
工場内は不良であふれてる、日々お客様からのクレーム対応で疲弊している品質保証部の方は、
なんとしてもこの負のループから脱したい
はず・・・。
賢明なあなたは目の前の不具合対策ではなく、工程設計段階から未然防止の仕組みを入れて製造品質の底上げをさせたいでしょう。
そこであなたは、
・工程FMEAを活用して工程の信頼性をアップさせたい
・過去のクレームリストから新製品への対策を展開させたい
というような取り組みを提案するとしましょう。もちろん根気と手間が必要な取り組みです。
そうすると、品質意識の低い製造部門や工程設計部門の管理者から批判が飛んでくることは容易に想像できます。
ただでさえリソース少ないし、納期も厳しいのにそんな手間かけれるわけねぇだろ!
お、来た来た!いつものパターン。
手間がかかるからって粗悪品を出し続けることがお客様のためになるとでも思うんですか?
毎度毎度お客様からクレームを受けて信頼を失えばコストも納期もクソもないですよ!
手間かけた相応の効果が見込めるとは限らんだろ!
もっと効率的で効果的な提案しろよ!
それを考えるのは本来あなた達でしょ?
品質は自工程で作り込むんでしょう!
それをちゃんと監督できていなかった我々も反省してるからこうして提案してるんでしょ
他に効果的で手間もかからない魔法のような案があるなら出してくださいよ!
品質のことは品証の仕事だろ?
お前らが考えるべきだと思うが?
製造のプロが一つの作業の信頼性も確保できないでよくそんなことが言えますね?
そもそも品質保証とは、サービスや製品を作りこむ部門が決めた作業品質が問題ない事をチェックすることです
勝手に品証部の仕事内容を規定しないでください
だから我々は反省し、これまでの仕組みや考え方では品質向上を望めないと判断して一緒に品質を上げていく取り組みをしましょうって言ってるだけです
仮にお前らの言う取り組みをやったとして、こんな手間がかかる事が現場に定着するとは思えんな・・・
何でやる前から諦め決め込んでるんですか!
普段からあなた方も「できない理由ばかり言うな!」って吠えてるじゃないですか
そもそも現場に品質意識を定着させるのは本来あなた方の仕事ですし、定着できてないからこんな状況になってるんです
こんなことでは現場作業者のレベルもやる気も上がらないし、会社の将来も衰退の道をたどるだけです
そうは言ってもリソースも限られてるし、納期も厳しいのが現実なんだよ・・・
最初から妥協した骨抜きの取り組みやってたら何も変わりませんよ
まずは一緒にやってみてもらえませんか?
できるだけ現場の負担を減らせるように考えたつもりですし、もちろん困った時は我々も協力します
当然あなた方だけが悪いわけではなく、こんな状態に危機感を持っていない上層部も、それを打破しようとしなかった我々にも問題があると思ってます
こんな殺伐とした会社の状況を変えていきませんか?
時間はかかるかもしれませんが、必ず製造部門の人材育成のためにも必要なことだと思っています
・・・
じゃあ、次の新製品立ち上げの時にトライしてみるか・・・
その代わりしっかりサポートはしてもらうからな!
ありがとうございます!
そうくると思ってすでに新製品の情報を元にある程度こちらで事前リスク抽出と対策案もリスト化してます
しっかりサポートするので、トライしながら軌道修正していきましょう!
品質意識の定着が裏ミッションですからね!
さいごに
以上のようにうまく話がまとまればいいですが・・・。
製造部門も好きで不良品を作ってるわけではありません。
製造現場で汗をかいてる人たちの気持ちにも理解は示しつつ、品証部門の立場としての主張は貫かないと状況は変わらないでしょう。
どこまで真剣に5年後、10年後の会社のことを考えられるか・・・。
流行りの画像検査やAI、ロボットなどにすぐ飛びついても使う人間の品質意識が低いようだと宝の持ち腐れです。
品質意識を育てていくには地道に手間暇かけてあげる必要があるんです。
それが時間なのか、お金なのか、みんなの知恵を絞ることなのかはやり方次第だと思います。
結局根底には、「熱意と真剣さ」なのかな?と思い始めた今日この頃です。
今以上に真剣にやれば、これまで惰性でやってたムダなことをやめるいいきっかけになるかもしれませんよ?
それではまた別の想定問答で!
おわり
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