- この記事を読んでほしい人
- ・自分のノートパソコンから変な音がするようになって不安
・早く修理に出したほうがいい「パソコンから発生する異音」とは?
筆者である僕は、職業柄まあまあパソコンの構造について詳しい方だと思っています。
これまでの経験を踏まえ、今回の記事の内容は、
ノートパソコンから発生する異音(異常と感じる音)
についてです。
- パソコンを買った時から変な音がしている
- しばらく使っているうちに急に音が鳴り始めた
みたいな症状があったら、パソコン組立過程での欠陥や故障、劣化の可能性があります。
特に、ノートパソコンはデスクトップパソコンに比べると
・構造が複雑で、薄くて強度が低い
・ユーザーで内部のお手入れが困難
・持ち運びやディスプレイの開閉などストレスが加わりやすい
といった構造や使用環境の違いにより、異音を感じる機会が多いです。
異音の中には、深刻なトラブルに発展する可能性があり、早めに修理に出した方がいいケースもあります。
そこで今回は、
異音が発生する状況と音の種類から推定する異音の原因
修理に早く出すべき危険な異音
について、述べてみたいと思います。
今回事例として挙げる異音の種類は以下の10パターン。
- 動作中にカバーが振動とともに「ビリビリ」するビビリ音がする
- ディスプレイの開閉時にヒンジ部分から「パキパキ」音がする
- ディスプレイの開閉時に内部から「パチン」と弾けるような音がする
- 本体を振ってみたら、内部から「カラカラ」と何かが入っているような音がする
- 本体を振ってみたら、内部から「カタカタ」と建付けが悪いような音がする
- 動作中に「キーン」と甲高い音がする
- キーボードを操作しているときに「ペタペタ」音がする
- パソコンを持ち運んでいる時に「ギシギシ」ときしむ音がする
- 冷却ファンの風切り音が「ボーッ」と低い音になった気がする
- 冷却ファンの回転音が常に「フオォォーッ」とうるさいと感じる
以下の表に、異音の種類と推定原因、修理推奨レベルを示します。
修理を強く推奨
万が一の安全性へのリスクが高いため、早めの修理を
修理を推奨
パソコンの動作機能低下につながるリスクがあるため、修理を前向きに検討
様子見
機能的な問題になる可能性は低いが、気になるようなら修理依頼してみて金額次第でキャンセルしてもよい
異音の種類 | 推定原因 | 修理の推奨度合 |
---|---|---|
動作中にビリビリ | ファンの固定不足 ファンの回転軸ブレ | 修理を推奨 |
ディスプレイ開閉でヒンジからパキパキ | ヒンジのカム機構動作の 音量バラつき | 様子見 |
ディスプレイ開閉で内部からパチン | 外部ストレス時の 内部部品同士の干渉 | 様子見 |
本体振ったら中からカラカラ | 異物の混入 内部部品の脱落 | 修理を強く推奨 |
本体振ったら中からカタカタ | 内部部品の固定不足 ねじ止め等の遊び量大 | 様子見 |
動作中にキーン | 高周波回路のコイル鳴き | 様子見 |
キーボード操作時にペタペタ | シート類の密着不足 キーボードの反り | 様子見 |
持ち運び時にギシギシ | カバー部品同士の干渉 (隙間や寸法バラつき大が要因) | 様子見 |
ファンの音がボーッ | 吸気口へのホコリ堆積 | 修理を推奨 |
低負荷でもファンが常にフオォォーッ | ファンの回転制御機能故障 CPUの放熱性能低下 | 修理を推奨 |
これ以降で上記の異音について、少し詳しく解説します。
動作中にカバーが振動とともに「ビリビリ」とビビリ音がする
多くの場合は、冷却ファン起因の振動が原因。
冷却ファンは、CPUに風を送って冷やすための小さな扇風機みたいなものです。
(正確にはCPUに載っているヒートシンクという部品を冷やす)
羽をモーターで回して風を送っています。
以下のような組立不良などによって振動が発生し、カバーやその他部品に振動が伝わって共振した時に大きなビビリ音が発生します。
・意図せずファンが他の部品と干渉している
・ファンがしっかり固定されておらずガタガタしている
・ファンの回転軸がズレて水平に羽が回転しない
冷却性能に大きな影響はないと考えますが、このまま長期間使用することはあまりおすすめしません。
不快な音なのでストレスになりますし、異常な振動によって他の部品のネジ締めが緩んだりする可能性も否定できないからです。
ファンが回転している時に「ビリビリ」や「ビーン」といった振動を伴うような異音が発生していたら、購入した店舗やメーカーへ修理依頼することをおすすめします。
なお、冷却ファンを搭載していないファンレスモデル(主にタブレットパソコン)では、このようなビビリ音が発生することはほぼないでしょう。
ディスプレイの開閉時にヒンジ部分から「パキパキ」音がする
ノートパソコンではディスプレイの開閉をしたときに、ある決まった開閉角度で「パキッ」と音が鳴るケースのほとんどがヒンジからのノイズ音です。
ヒンジとは、引き戸などに使われる蝶番(ちょうつがい)と同じで、開閉機構などで利用される回転軸をもった部品です。
クラムシェル型のノートパソコンでは、キーボード側とディスプレイ側をヒンジで接続することで、ディスプレイを開いたり閉じたりすることができます。
ノートパソコンで使われるヒンジは金属製で、カム機構という構造をとっているものがほとんど。
(カム機構について 引用元:Wikipedia)
カム機構によってヒンジが動作するときに、金属と金属が干渉することで音が発生することがあります。(潤滑油量や、部品寸法、組付けのばらつきなどによる)
製品の機能や寿命に影響するほどの現象ではありませんので、音が気にならない方は様子見でよいでしょう。
気になる方は修理してもよいと思いますが、メーカーが過失を認めるかは程度によると思います。
なお、修理の内容としては、ほぼすべて解体してヒンジの交換になると思われます。
ディスプレイの開閉時に内部から「パチン」と弾けるような音がする
これもクラムシェル型ノートパソコンで見られる現象です。
ディスプレイの開閉ストレスやディスプレイ部の製造バラツキによって、ディスプレイ側内部の部品同士が接触したり、剥離したりすることで開閉のたびに「パチン」と弾けるような音が発生するばあいがあります。
(ケーブル、カバー、シート類、液晶パネルなどとの干渉)
これも製品の機能や寿命に影響するほどの現象ではありませんので、音が気にならない方は様子見でよいでしょう。
ただし、よほど大きな音が鳴るようだと修理に出してもいいかもしれません。
(無償修理、または修理費用を取られるかで判断してよいと思います)
パソコン本体を振ってみたら、内部から「カラカラ」と何かが入っているような音がする
パソコン内部になんらかの原因で異物が入っていることが考えられます。
製造の過程で不要な部品が混入した、内部の部品が折れた、または脱落したと考えるべきでしょう。
プラスチック類の異物であれば機能的な影響は少ないと思いますが、もしもネジや金属片などの金属異物であれば非常に危険です。
金属は電気を通す性質があるので、マザーボードなどの電子回路を電気的にショートさせて壊してしまうリスクがあります。
最悪の場合は、発煙や発火の事故につながることも否定できません。
というか、実際に事故もおきています。
本体を振ってみて「カラカラ」と何かが混入したような音が鳴る場合、見た目でプラスチックか金属か判別できなければ、早めに修理に出すことを強く推奨します。
パソコン本体を振ってみたら、内部から「カタカタ」と建付けが悪いような音がする
多くの場合、部品固定に若干の遊びがあることが原因です。
部品寸法のバラツキ、組立ばらつき、設計上のクリアランスなどの要因で、モノとモノの間のスキマが開いたり閉じたるすることで「カタカタ音」が鳴ります。
機能や寿命に大きく影響を与えるものではない場合がほとんどなので、しばらく様子を見ていいと考えます。
ただし、
本体を振った時に映像が乱れる、電源が切れるといった機能的な症状が出るのであれば修理に出すべきです。
動作中に「キーン」と甲高い音がする
パソコンの電源をONしている間中、内部から「キーーーン」という甲高い耳鳴りのような音が聞こえるのは「コイル鳴き」という現象がほとんどです。
コイル鳴きについて少し詳しく知りたい方は、以下の外部リンクを参照ください。
レノボ公式サイト:コイル鳴きとは何ですか?なぜ発生するのですか?
メーカー側でも対策していますが、完ぺきに流出を防ぐことはできません。
(使用環境や内部部品の経年変化の影響もあるため)
機能的な影響はないので安心してもらっていいですが、甲高い音はストレスですよね・・・。
よほど我慢できない状態なら、メーカーや購入したお店でのサポートデスクにまずは相談してみましょう。
キーボードを操作しているときに「ペタペタ」音がする
キーボード操作時に「ペタぺタ」とした粘着音のようなモノが聞こえる場合があります。
キーボードとカバーを密着させるためのシートがくっついたり離れたりすることで起きる異音です。
パソコン組立のバラツキや、キーボードの反りが大きいことが考えられます。
これも機能的な影響は無く、音をガマンできるかどうかです。
キーボード入力の操作感に問題なければしばらく様子をみてよいと思います。
パソコンを持ち運んでいる時に「ギシギシ」ときしむ音がする
これはプラスチック製の筐体のパソコンで起こりやすいです。
(マグネシウムやアルミ製筐体では起こりにくい)
樹脂製品は金属カバーよりも寸法精度で劣るため、カバー間のスキマや干渉などが発生しやすい傾向にあります。
さらに、経年変化や周囲環境(温度や湿度)で寸法がわずかにですが変化しやすいです。
これによって、樹脂カバーの変形や干渉によってギシギシと軋むような音が鳴るわけです。
これも機能に影響がないため、しばらく様子を見てよいでしょう。
冷却ファンの風切り音が「ボーッ」と低い音になった気がする
なんか冷却ファンの風切り音が「ボーッ」と重低音になってきたな・・・と感じたら、ファンの吸気口まわりのホコリ詰まりを疑ってみてください。
吸気口から空気を吸い込むときに、ホコリの塊が振動している音の可能性が高いです。
掃除できる範囲で掃除しても音が改善しない場合は、パソコン内部にホコリがたまっていると思われます。
そこまでホコリがたまるということは、相当な年数使用しているとは思いますが・・・。
放置していると冷却性能が落ちますし、修理を検討してもいいかと。
もう長年つかっているのであれば、買い替えも検討してもいいでしょう。
冷却ファンの回転音が常に「フオォォーッ」とうるさいと感じる
買ったばかりなのに、ファンが常に全力運転。
重たいアプリ動かしてないし、OSのアップデートやウィルスソフトが動いているわけでもないのにファンが全力運転。
そんな時は、ファンの回転数制御が機能していない可能性があります。
冷却機能全開なのでパソコン機能としては影響ないかもしれませんが、静粛性や電力消費の面で異常と判断してよいでしょう。
修理を推奨しますが、修理窓口には全力運転時の動作環境をしっかり伝えるようにしないと、利用者側の環境の問題を思われる可能性が高いです。
さいごに
最後に言っておきたいのですが、
機能的に影響のない「様子見レベル」の異音でも、ストレスになってしまって快適にパソコンライフを送れないのはイヤですよね。
とはいえ、修理もタダではない・・・。
メーカー保証期間内の異音であれば、サポートデスクに連絡して無償修理の交渉はしやすいです。
無償修理で対応できるなら、少しの間手元にパソコンがなくても支障がないなら気になるところは修理してもよいでしょう。
費用と、パソコンが使えない期間、機能への影響、ストレスと思うか思わないかを軸に納得できる対応ができることを祈っています!
おわり
コメント