■この記事のターゲット
・静電気帯電電圧の測定をしたい
・静電気のトラブルを調査、解決したい
・安価で使いやすい表面電位測定器を探している
電子部品や精密電子機器の製造工場を悩ませる「静電気」による電子部品の破壊や小さなホコリの吸着。
製造工場では様々な静電気対策をしていると思いますが 、静電気は目に見えないうえに様々な要因で発生するため、完璧な対策が難しいのが現状です。
日々の静電気対策アイテムの管理に加えて、静電気が発生する箇所を見つけては潰していく地道な努力が必要。
今回の記事では、そんな静電気破壊リスク低減活動に従事する人の必須アイテムである「表面電位計」について、筆者も使用しているサンハヤト社の表面電位計「EG-1」のレビューをしたいと思います。
結論から言うと、
静電気による帯電電圧の高い低いを大まかに見る程度であれば、非常にコストパフォーマンスが高くオススメです。
実勢価格20,000円程度と安価なこともあり、高価な測定器を買うよりはEG-1を複数台購入して現場に配布し、気になった場所をすぐに測定できる体制をとった方が静電気リスク箇所の把握と対策、現場の静電気への意識向上に大きく寄与すると考えます。
静電気の対策を専門の人間が行うのもいいですが、日ごろから静電気を測定しやすい環境にすることで全体で静電気対策の意識を高める方が成果を出しやすいと考えます。
これは筆者のこれまでの電子・電機系エンジニア生活の中での静電気対策活動の経験から得られた教訓です。
静電気対策の第一歩は静電気をすぐに、簡単に見えるようにすること!
サンハヤトEG-1の特徴詳細
測定結果が見えやすいバックライト付き液晶画面
電圧測定の画面は電圧の極性と電圧値のみが表示されるシンプルなものです。数値も大きく表示され、バックライト液晶なので暗いところでも数字が見えやすいのが特徴です。
なお、測定レンジは-19.9kV~+19.9kVで、0.1kV(=100V)刻みで表示されます。
ちなみに気になる「測定精度」ですが、定期校正に出している1台10万円近くする表面電位計の測定値とほぼイコールだったので安いからと言って適当な測定結果というわけではないです。
ただし、表示がkV単位(1kV=1000V)で0.1kV刻みなので、数十Vレベルで数値を確認したい場合には不向きです。
操作方法はシンプル「一つのボタンを押すだけ」
操作方法はいたってシンプルです。この測定器が持っているたった一つのボタンを押すだけ。
液晶画面下の「Powerボタン」を長押しで電源ON、電源OFFも「Powerボタン」長押しです。
説明書を見なくても直感的に触ればほとんどの人が操作方法を理解できるでしょう。
なお、電源ON中にPowerボタンを押すと測定値をHOLDすることができます(もう一度押すとHOLD解除)。
帯電物の測定値を保持して数値を確認したいときは、Powerボタンを押すだけです。
最適な測定距離を示すLEDガイド装備
表面電位計の測定原理は、帯電物からの静電界強度が表面電位計内のセンサー(検出電極)を誘導帯電させることを利用して帯電物の帯電電位測定するものです。
正しく帯電物の帯電電位を測定するには、帯電物と表面電位計のセンサー部の距離を指定の距離に保つ必要があります。
帯電物に対してセンサーが近すぎると測定値は大きくなり、逆に遠すぎると測定値は小さくなります。
多くの表面電位計には、その帯電物と表面電位計センサー部の距離を測定者に分かりやすく明示するためにLEDでガイドする機能が付いています。EG-1にもLEDガイド機能があるので、測定距離が大きくずれて本来の帯電電位が測定できなくなることを防いでくれます。
2つのLEDが発する赤い光の円の中心が揃う様に、測定対象と表面電位計の距離を調整すればいいだけです。
静電気を発生させる樹脂プレート付き
静電気が起きやすい樹脂で作られたプレートが同梱されています。 個人的にはもっとも嬉しい付属品です。
使い道は様々です。
・他の人に測定器の使い方を教えるときの帯電物サンプルとして
・表面電位計がちゃんと動いてるよね?という日常点検の試験サンプルとして
・イオナイザーのような除電機器の除電能力定期 点検の試験サンプルとして
乾いた布やティッシュペーパーでプレートを数回擦ると静電気が発生します。
サンハヤトEG-1の仕様
EG-1の主な仕様を記載します。
電源 | 単3型電池×4 |
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外形寸法 | 141.3×71.0×19.4mm |
重量 | 196g(電池含む) |
表示範囲 | 0~±19.9kV |
測定距離 | 50mm |
測定精度 | ±7% |
付属品 | 単3乾電池×4本 静電気発生用テストピース×1 ストラップ |
メーカー保証期間 | 購入日から1年間 |
さいごに
表面電位計を買おうと思うと価格が10万円近くのものが多いです。もちろん精度や機能面が充実しているのですが、よほど小さな静電気でも壊れる部品を扱う現場を除けば、実際は大まかに測定だけをしたい場合が多いと思います。
それだけのために高価な測定器を買うよりは、サンハヤトのEG-1のような測定器の購入がいいのではないかと思う次第です。
モノタロウやアズワンなどの通販サイトで購入できますし、楽天でも買えるようです。
筆者自身も満足していますが、他の利用者の評価も上々のようですよ!
安価な表面電位計をお探しの方は是非参考にしてください。
おわり
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