【品証部門に必要な心構え】品質向上のために品質保証部は「どう考えて、どう行動すべきか」

製造業の品質保証部 品質向上のための心がまえ

■この記事のターゲット
・製造工程や市場での不良発生を低減させたい
・製造現場の品質を上げるにはどうすればいいのか?

筆者の僕も日々経験していますが、モノづくりの現場(もちろんサービスの現場も)では日々品質トラブルが起きています。

そして企業の品質保証部門は、原因調査と対策適用の旗振りをしなければなりません。

品質問題は、製造不良なら製造部門、サービスクレームならサービス部門、設計問題なら設計部門が原因を深堀して根本原因を見つけ出し、そこに効果的で持続可能な対策をうつのが定石です。

品質保証部は、責任元部門からの調査結果と対策内容の妥当性、対策の実施状況と効果を確認する立場で監視します。

品質トラブルが頻発する企業の問題点は2つあると思っています。

品質問題が絶えない企業の問題点

①責任元部門の原因調査と対策が不十分
・業務に追われて時間が無く、根本原因までたどり着けないため、処置的な対策に終始する

・原因深堀のための手法や専門知識、データ分析スキルがない(または関連するデータ自体が無い)

・そもそも品質を上げることが優先事項でない

②品質保証部門のマネジメントが甘い
・責任元部門に忖度して中途半端な調査結果、対策内容でも承認してしまう

・実際に現場で対策が実施され、定着しているかを監視していない

・責任元部門に品質意識を持たせることができていない

これらの2つの問題の根本にはトップマネジメントの問題もありますが、ここでは割愛します。

今回の記事では、

品質問題が頻発する企業で「品質保証部門が現場でどう動けばいいか

について述べたいと思います。

意識すべきポイントは3つです。

・与える(Give)

・一緒に考える(Think with)

・見守ってあげる(Look after)


それでは詳しくみていきましょう。

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関連データ、データの分析手法を「与えて」あげる

製造およびサービスの現場の現実は、コスト(C)と納期(D)が優先されます。

理由は簡単で、結果がすぐに売り上げや利益に影響するからです。

要は「分かりやすい指標」ってことですね。

日々鉄火場のような現場では、じっくり1つの案件に向き合う時間と人的リソースが不足しています。

そんな現場に向かって「根本原因を追究しろ!」と言ったところで、分かりやすい原因と対策に思考が向かうのは致し方ない部分もあるでしょう。

現場で対応できないことを責めたっていい方向にはいきません。彼らは彼らの優先すべきことをやっているにすぎないのです。

では、品質トラブルが起きたときに品質保証部門は具体的にどう動けばいいのか。

まずは、仮説を立てて関連するデータや当事者へのヒアリングから発生原因の範囲を絞ってあげましょう。

いつから、どれくらい不良が発生しているのか、どこかの設備、特定の作業者に偏りがないか。

5M(Man, Machine, Method, Material, Measure)の観点でデータを収集し、5W1H(When, Where, Who, What, Why, How)の切り口で結果を分析してあげるのです。

日々品質データを監視し、分析している品質保証部員なら容易くできることでしょう。

責任元部門にデータである程度裏付けを取った仮説を与えることで、責任元部門はポイントを絞った原因調査ができます。


特に製造やサービスの現場は、QC手法やデータ分析に長けているわけではありません。
座学で教育したって活用しないと身に付きません。

生きた実用性のあるデータを与え、どのように分析するのかを暗に示しつつデータや論理に基づいた問題解決手法も与えていくのです。

まともな現場管理者であれば、そこまでしてもらって動かないわけにはいかないでしょう。

困りごとの原因が特定できると嬉しいもんです。
対策ができれば困ることが無くなるわけですからね。

品質保証部門は、困っている仲間を助けてあげる気持ちでサポートしてあげましょう。

なぜなら、開発部門(企画部門)は飯のタネを考えてくれて、製造・サービス部門はそれを形にしてくれることで会社の売り上げ・利益に大きく貢献するための部門なのですから。

謙虚な気持ちを絶対に忘れてはいけません。

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根本原因と根本対策を「一緒に考える」

原因がある程度見えてくると、問題解決に慣れていない人は「目に見える原因を真の原因」としてしまいがちです。

例えば、責任部門が品質問題の原因を「特定作業者のオペレーションミス」とし、対策を「教育と注意喚起」として報告してきたとしましょう。

これで再発が防げると思いますか?

人は入れ替わることがあります。人は誰でも体調などによってミスします。

この例での原因は「見かけの原因」であって、根本原因ではありません。

見かけの原因に対策を打っても見かけ上の対策にしかなりません。

根本原因はその奥に潜んでいます。責任元部門と一緒になって考えましょう。

なんで作業者はミスしたのか?

決められた作業手順に曖昧部分はないか?

作業指導は受けていたのか?受けていたとしたらどのような指導なのか?

ミスがあっても不良を作らせない、流出させない仕組はあったのか?

第三者の立場として、問いかけながら一緒に根本原因を探っていきましょう。

そして、お互いある程度納得できる原因(これ以上の深堀が現実的でないところ)までたどり着いたら、それが根本原因としていいです。

対策も一緒に考えてあげましょう。

対策にかかるコスト、対策の有効性を考えて、後々困らない双方ハッピーになれる対策を打つことを心掛けたいところです。

仮に将来再発したとしても、これを教訓に間違いを修正すればいいだけです。

互いに納得して答えを出すことで、失敗した時に「じゃあ、次はこうしなきゃね!」と前に進むことができるのです。

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その後の状況をしっかり「見守って」あげる

対策が決まれば、スケジュールと担当者を決めて実行に移します。

決めたプラン通りに実行され、しっかりと定着するまで監視をするのです。

いや、監視という言葉はキツイ印象を与えるので「見守り」としましょう。

常に監視の目があると聞くと聞こえは悪いですが、「常に見守っているよ」とするだけでずいぶんと前向きな感じがするじゃないですか(笑)

あの件、調子はどう?うまくいってる?

困ってることがあればいつでも言ってよ!

お、ちゃんとやってくれてるじゃん!ありがとう!

くどいようですが、現場は常に大変です。
いろんなトラブルのしわ寄せがくるのは最終的に製造現場やサービスの現場で働く人たちです。

根っこには被害者的な意識が育ちやすい傾向にあります(個人的な経験から)。

そんな彼らに感謝の気持ちを送って、気持ちよく働いてもらうことが結果的に「製造やサービスの質の向上に繋がる」と信じることも大事と思います。

もちろん、やさしく接するだけでいいわけじゃありません。時には厳しく接することも必要です。

速く、正しく対策が適用されないと最終的にはお互いが困ってしまうわけですからね…。

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まとめ

それでは最後にまとめます。

品質問題が絶えない企業の問題点

①責任元部門の原因調査と対策が不十分
・業務に追われて時間が無く、根本原因までたどり着けないため、処置的な対策に終始する

・原因深堀のための手法や専門知識、データ分析スキルがない(または関連するデータ自体が無い)

・そもそも品質を上げることが優先事項でない

②品質保証部門のマネジメントが甘い
・責任元部門に忖度して中途半端な調査結果、対策内容でも承認してしまう

・実際に現場で対策が実施され、定着しているかを監視していない

・責任元部門に品質意識を持たせることができていない

3つの意識を持って関連部門と接しましょう!

①関連データ、データの分析手法を与えてあげる
②根本原因と根本対策を一緒に考える
③その後の状況をしっかり見守ってあげる

現場に被害者意識を持たせずに、当事者意識と事実にのみ向き合うように誘導していきましょう。

罪を憎んで人を憎まず
トラブル案件は成長するための糧

そんな風土の会社で働くことって楽しいと思いませんか?

おわり

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