- この記事のターゲット
- ・品質保証の仕事にやりがいを見出せない
・品質保証の仕事のモチベーション(動機付け)は何にしたらいい?
筆者である僕は、製造業界で品質保証の仕事に10年以上従事しています。
当ブログでは、
品質保証の仕事で試行錯誤している方に向けて、少しでも役立つ情報を提供できればという思いでこれまで多くの記事を投稿してきました。
おかげさまで今までたくさんの方に読んでいただき、時には読者様からお問い合わせをいただけるカテゴリーに成長しました。
いきなりですが、身の蓋もないようなことを言わせてもらいます。
品質保証の仕事で品質トラブルや、市場クレームが長期間全く発生しない…なんてことは現実的にはまずありません。(ただの実力不足かもしれませんけど)
今回の記事は、
品質保証部の仕事のモチベーション
についてです。
品質に関するトラブルは、製造やサービス部門などの実施部門の責任ですが、品質保証部の責任(不良やクレームを出させないように導く)でもあります。
不良発生率や市場クレーム件数を減らしていくことが、品質保証部門の主な活動指標になっているケースが大半ではないでしょうか。
製造部門は、製造台数の計画達成や製造コストを削減すれば賞賛されやすいです。
(そのぶんしんどいですけど)
開発部門は、新製品のリリースや新技術の確立で存在感を大きくアピールできます。
(もちろん、これも簡単な仕事ではありません)
一方の品質保証部門は、以下のような雰囲気の企業が多いのではないでしょうか?
不良を出させないことが当たり前
クレームが発生するたびに怒られる
仕事の性質上、褒められることは稀
僕も正直なところ、何をモチベーションとすればいいのか分からなくなる時がありました。
数字上では、不良率やクレーム件数を前月比や前年比で下げることができれば、成果はアピールすることはできます。
もちろん、不良率や年間の市場クレーム件数を下げていくことをモチベーションとしている品質保証部員もおられるでしょう。それで給料が上がれば言うことなしですよね。
でも僕は、このような成果が出てもあまりうれしくないのです。
なぜなら、
率は低いとはいえ不良は発生しているわけですし、お客様からのクレームも完全になくなっていないのですから…。
さらに言えば、
環境の変化(新製品リリース、人員変動、大幅なコストダウン、時代によるお客様の価値観)などによって、不良率や市場クレーム件数は容赦なく悪化します。
簡単に奈落に突き落とされます。
「カイゼンに終わりはない」と言われますが、本当に「終わりなき旅」です。
少しぐらい達成感に浸らせてもらってもいいじゃないですか・・・(すみません。愚痴です。)
僕以外に、同じように思っている品質保証部員の方も多いのではないでしょうか?
僕は、品質保証の仕事を通じてメンタル面でもツライ経験をし続けた結果、数字だけにやりがいを見出すことをやめました。
今回は、品質保証の仕事に従事する現在の僕が、どんな時にモチベーションが上がるのかについて述べてみたいと思います。
この記事が
- 品質保証の仕事に従事し、モチベーションの維持に悩んでいる方
- これから品質保証の仕事に就こうとしている方
の参考になれば幸いです。
品質保証の仕事をしていてモチベーションが上がる瞬間
僕が品質保証の仕事をしていてモチベーションが上がる瞬間は以下のような時です。
製造部門やサービス実施部門の人たちが、
- 品質トラブル解決について相談しにきた
- 自主的に品質トラブル未然防止活動を行うようになった
- 品質向上に必要な考え方を自分たちで磨き上げるようになった
筆者が理想とする品質保証の仕事とは、
「品質保証部門が存在しなくても高い品質が確保できること」
です。
その理由は、過去記事:【品質保証部門なんて不要?】私も「いらない」が理想ですを参照していただければと思います。
さきほど述べた「モチベーションが上がる瞬間」というのは要するに、
ああ…この感じなら将来的に品質保証部の人間を減らしていけるなぁ
(自分の理想に半歩でも近づいた)
と思えた時です。
今まで僕は、
- 隠し事やウソがないか現場をパトロール等で監視する
- やるといったことができているかドキュメントを抜き打ちチェックをする
- 不具合発生の責任元部門に対して、原因調査や対策の支援・督促・内容の精査等を行う
といった「問題ないかどうかを二重チェックする」みたいな後ろ向きかつ、非効率な感じがする品質保証部の仕事が個人的に面白くありませんでした。
もちろん、僕が勝手に後ろ向きと感じていただけです。
組織として大切な役割だということは分かっています。
そして、
他部門が自律して品質の維持・改善できるような雰囲気に導くことができていない品質保証部門の責任もあることも承知しています。
「子どもの集まりじゃないんだから、言えばみんなしっかりやってくれるだろう」というのは甘い考えでした。
子育てや少年スポーツのボランティアコーチなどを経験していくうちに、同じ目標に向かって組織を導いていくことの大変さは「大人の集団」も「子どもの集団」もそんなに変わらないと思うようになりました。
大人に対して失礼に聞こえるかもしれませんが、同じように感じている方も多いのではないでしょうか?
(下手すりゃ単純で純粋な分、「大人の集団」よりも「子どもの集団」の方が導きやすいかも・・・)
子どもが、
いままでできなかったことができるようになった時
何度言っても理解してくれなかったことを理解して行動が変化した時
「自律(自立)のレベルを1段上げた」という成長を目の当たりにした時に、親(または指導者)として、本当に嬉しく感じます。
この喜びは、「大人の集団」でも同じでした。
製造部門やサービス実施部門の方々が
- 今までは内緒にしていたであろう、現場内の品質トラブルについて相談しに来てくれた
- 自分たちだけでトラブル予防の仕組みを立案し、活動するようになった
- 自部門の品質意識を上げるための試行錯誤が外から見ていて分かる
このような活動が定着し継承されていけば、将来きっと品質保証部門を縮小することができる。
中央集権型から地方分権へ。管理コストの効率化。
まあ、そう簡単にいくわけではないでしょうが、そう感じさせてくれる言動を目の当たりにすると期待せずにはいられません。
そんな成長の瞬間に立ち会えた日の夜に飲むビールは格別においしいのです。
さいごに
品質保証の仕事をする上で、あなたの理想は何でしょうか?
もし理想があるなら、一歩でも半歩でも理想に近づけたら自分を褒めてあげましょう。
努力した自分を褒めてあげて、さらに協力してくれた周りにも感謝することができればとても幸せな気持ちになれます。
この幸せな気持ちになれる瞬間がモチベーションの源ではないでしょうか?
今現在、理想なんてないなぁ…という方も大丈夫。
これから自問自答すれば必ず見つかります。
理想さえ定まれば、まずその時点でモチベーションがアップします。
そして、そのあとは理想に向けて試行錯誤していけば、やってて良かったと思える瞬間に出会えますよ!
あなたの理想探しの参考に
当ブログの「製造業の品質保証部」記事集を見るおわり
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