【人材活用の悩み解決】知能指数と仕事の能力と正規分布とマネジメント

知能指数、仕事の能力に合わせた人材マネジメント
この記事を読んでほしい人
・人材を有効活用できなくて悩んでいる

・組織全体のパフォーマンスが上がらない

・部下にこちらの指示がうまく伝わらない

今回の記事では、統計手法でよく使われる正規分布をベースにした

組織に属する人間の「仕事の能力の分布」と「効果的な人材マネジメント」


について、製造業の品質保証部門で10年以上の経験を持つ筆者の考え方を述べています。

この考え方は、すべての組織に当てはまるとは言えませんが、仕事だけに限らず多くの場合で組織運営に役立つ視点であると考えています。

人の集団というものをより客観的に考えられるようになると、ゲーム感覚で組織運営を楽しむことができるでしょう。

それでは早速いってみましょう!

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人間の知能指数(IQ)の度数分布

人間の知能指数(IQ)と人口に占める割合をご存知でしょうか?

下のグラフをご覧ください。

IQスコア分布のグラフ
引用:WORLD WIDE IQ TEST

横軸を知能指数IQとし、縦軸を人数の割合とした度数分布グラフです。

ある集団の中から、無作為にピックアップした人達の「IQ」と「その出現度数(確率)」を表したものと考えてください。(例:日本の成人男性を無作為に1000人抽出し、その人のIQと人数をカウント)

その出現度数(確率)は上のグラフのように真ん中が高く、両側のすそ野が広がっていく形になると言われています。
※次の項で触れる「正規分布」という確率分布になると言われる

このグラフで言えることは、

  1. IQ100前後の人の割合が最も高い(欧米人の平均値)
    ※日本人の平均IQスコアは105と言われています
  2. IQが平均より高くなっていくほど、その人口割合は減っていく
  3. IQが平均より低くなっていくほど、その人口割合は減っていく

言葉は悪いですが、極端に頭のいい人は少なく、極端に頭の悪い人も少ない、真ん中へんの人が多いということです。

一般的にはそういうものだと思ってもらっていいでしょう。

さてここからが大切な部分です。

人間は、IQの差がおよそ30以上ある人とは会話が成立しにくいと言われています。

なんで?

という人もおられると思います。

しかし、人間社会で長く生きてこられた方々は感覚的に納得できるのではないでしょうか?

みなさんも経験があるはずです。

考え方が全く違う、価値観がかけ離れた人と会話しても平行線だったり、まったく理解し合えなかったりしたことが。

IQ90の人はIQ130の人とお互いの意思疎通が難しい。

IQ70の人とIQ110の人も同様です。

IQ100の人があまり問題なく意思疎通できる人を「IQ70~IQ130の人」と仮定すれば、その人口は全体の約95%となります。

ほとんどの人とある程度コミュニケーションとれると考えることができますね。

一方で、かなり頭のいい人とされるIQ130の人が意思疎通できる人は「IQ100~IQ160の人」となります。

この範囲にあてはまる人は全体の約16%となり、分かりあえる人が少ないのです。
(IQが低い人も同じです)

意思疎通できる人が少ない場合、人間社会においては以下のような問題点が挙げられます。


・お互いが理解し合えないので人間関係で争いが起きる、ストレスが溜まる

・分かり合える人が少ないので、孤独感を感じてしまう


これはIQに限った話ではないと思っています。

脳機能の大きな差というのは、お互いを分かり合えない大きな溝になり得るというのが私の考えです。

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仕事の能力と正規分布

人間のIQの確率分布は、統計でよく使われる正規分布に近似して考えられることが一般的です。

参考リンク:株式会社 社会情報サービス 統計WEB

正規分布のグラフ
正規分布の確率分布

この考え方は、仕事の能力にも当てはまるというのが私の考えです。(仕事の能力の高さ≒IQの高さ)

仕事の能力が必ずしもIQだけに依存するわけではないと思っていますが、大きな割合は占めているでしょう。(論理的思考力、予測の精度、判断力、脳の回転の速さなど)

もちろん、

身体能力の高さが仕事の成果に直接影響する職種であれば、身体能力の高さも大切な要素でしょう。

しかし、その中でもIQが高い方がより高い成果を出せるという意味で、IQの影響は大きいと考えます。


さて、
ここである会社のある部門で「社員の仕事の能力」が正規分布に従うと考えたとき、部門の中には以下のような3パターンの集団がいると言えます。

  1. 仕事の能力が高存在する割合は少ない)
  2. 仕事の能力が平均的(存在する割合が最も多い)
  3. 仕事の能力が低い(存在する割合は少ない)
IQ分布をベースにした3パターン人材の層グラフ

何が言いたいかというと、

前の項でも述べたように、能力の差が大きい人同士だとコミュニケーションに問題が出るリスクが高まるということです。

少し話はそれますが、
ある分野の仕事の能力が低いからと言って、人間の価値が決まるわけではありません。
異なる分野の組織に移れば、一転して仕事の能力が高い層になり得る可能性はあるのです。

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効果的なマネジメントを考察

これまで述べた考え方をベースにすると、3つのパターンの集団に対してそれぞれに適したマネジメントを検討しやすくなります。

①仕事の能力が高い人
・重要な仕事を割り当てる

・期待以上の結果をだしてくれるので、細かく干渉せずに任せる

・仕事の能力が平均~やや平均高めの人をサポートにつける
②仕事の能力が平均的な人
・平均的~やや難易度が高い業務を割り当てる

・比較的頻度高めにコミュニケーションを図る(報告・連絡・相談)

・①と③の人のサポート的な役割を与える

・①の領域あたりまで成長した人は、引き上げてあげる
③仕事の能力が低い人
・簡単~平均的な業務を割り当てる

・いい意味で期待せずに、個人に任せる

・仕事の能力が平均よりやや低め~平均的な人をサポートに割り当てる

・②の領域まで成長した人は、引き上げてあげる

イメージ通りの100点満点の組織運営はできないにしても、上記のような考え方をベースに持っておけば人員の采配もしやすくなると思います。

以降で上記3パターンの人材マネジメントについて、補足説明します。

①仕事の能力が高い人へのマネジメント

(1)重要な仕事を割り当てる
能力が相対的に高い人に重要な仕事を割り当てるのは当然と言えば当然。
平均的な人よりも、速いスピードで成果を出すことができます。

効果的、かつ効率的に成果を出したいなら必須のマネジメントですね。

(2)期待以上の結果をだしてくれるので、細かく干渉せずに任せる
あるジャンルや分野では、おそらくマネージャーよりも高い能力を発揮し、高い成果を出してくれる人材です。
もちろんマネージャーよりも総合力が高い人もいるでしょう。

マネージャーは能力の高い部下を信じ、政治的判断をすべき場合など最小限の声掛けに留めておくと良いと思います。

細かく干渉されると、それに対応するためにスピード感がなくなり、他者の意図や忖度が入ってアウトプットの完成度が下がる恐れがあることは留意しておきましょう。

また、自分より能力の高い人への嫉妬で、業務から干してしまうような行為はゼッタイダメです。
そういう人を有効に活用するのがマネージャーの腕の見せ所ですよ。


(3)仕事の能力が平均~やや平均高めの人をサポートにつける
能力が高いと言っても常に一人で仕事をこなせるわけではありません。同僚や他部門との協力も必要になるケースもあるでしょう。

仕事の能力が高すぎるような人は、前述したように人口比率が高い「平均的な人」や「平均以下の人」とのコミュニケーションに問題を抱えてしまう確率が高いです。

その理由は、価値感や考え方が大きく異なることが多いからでしたね。

コミュニケーションの問題で本来のパフォーマンスが損なわれないように、間をつなぐハブとなる人間をサポート役として組ませることをオススメします。

仕事の能力が高い人に付けるサポーターは「能力が平均~やや平均高めの人」であれば、いいつなぎ役となるでしょう。

要するに、
能力が高い人には余計な邪魔はせずに、自分のチカラを最大限発揮してもらうということです。

②仕事の能力が平均的な人へのマネジメント

(1)平均的~やや難易度が高い業務を割り当てる
割り当てる業務は、平均的~やや難しい難易度となるように意識すると良いと思います。

人間は簡単にこなせる業務だと飽きるし、成長しません。

かといって、難易度が高すぎると最初からやる気がでない、達成感が得られなくて自分に失望すします。

その人の能力より「少し難しい問題や課題」にチャレンジすることで、

・頑張ればやれそうだ!と明るいイメージが抱きやすくなり、モチベーションになる

・工夫や継続した努力によって問題や課題をクリアすることで、その人が成長する

という効果があります。

(2)比較的頻度高めにコミュニケーションを図る(報告・連絡・相談)
平均的な人には、なるべく頻度高く進むべき方針を示したり、選択に悩む部分を決定してあげたりしながらコミュニケーションを図るべきと考えます。

この②の層が人口分布の割合として最も多いので、この層の教育と指導に労力を費やして組織の能力の底上げを図るのが目的です。

①と③の層へのコミュニケーションにかける労力をある程度切り捨ててでも、②の層へのアプローチを考え続けるようにしてください。

①の人は言われなくても自分で考えてやるし、③の人はかける労力の割に効果がでない可能性が高いためです。

(3)①の人材と③の人材のサポート的な役割を与える
②の層の人材は、①層と③層のつなぎ役となれる人達です。

①層の考え方や価値観にある程度共感でき、①層をサポートすることで成長につながります。
当然、③層の考え方や価値観にもある程度共感でき、③を指導することでも自身の成長につながります。

要するに、

①層と③層のサポートをすること自体が、②層の仕事の能力を高めることにもなるし、マネージャーの負担軽減にもつながる一石二鳥。

そして、

マネージャーは意識的にサポート役の人とコミュニケーションをとるようにすれば、全体の状況をおおよそ把握できるという考えです。

(4)①の領域あたりまで成長した人は、引き上げてあげる
②層の人が成長して才能が開花し①層の領域に達しそうな人は、①層の人と同じようなマネジメントをすればよいでしょう。

しばらくは要観察ですが、問題なければそのまま。
問題があれば、その人が悪いわけではなくマネージャーの判断ミスと考えて、②層のグループの扱いに戻せばいいだけです。

③仕事の能力が低い人へのマネジメント

(1)簡単~平均的な業務を割り当てる
仕事の能力が相対的に低いので、誰でもできるような業務や難易度低めの業務を割り当てるようにしたいですね。

難易度の高い業務を任せても、遅いし失敗する可能性も高くなります。

それでも失敗から学んでくれればいいですが、同じような失敗を繰り返す学習能力が低い人は、残念ながら現時点は簡単な仕事をしてもらうのが合理的です。

(2)仕事の能力が平均よりやや低め~平均的な人をサポートに割り当てる
②の層の人材をサポート役として割り当てます。能力に大きな開きがないので、コミュニケーションの問題は起きにくくなるでしょう。

(3)いい意味で期待せずに、個人に任せる
簡単な仕事を与え、②の層の人をサポートに回しているのでマネージャーは大きな期待はせずに任せましょう。

マネージャーが頑張って教育・指導しても、それに見合ったアウトプットが出てくる可能性は低いと割り切って②層とのコミュニケーションを図った方がいいです。

もちろん、③層の人達は上から見放されてると思われてもいけないので、成果を出した人には感謝の気持ちを伝えることは必要ですよ。

成果を出していない人は、残念ながら自然淘汰されるほかありません。

(4)②の領域まで成長した人は、引き上げてあげる
③層の人が成長して才能が開花し②層の領域に達しそうな人は、②層の人と同じようなマネジメントをすればよいでしょう。

仕事の面白さや成長を実感してくれると、能力も自然とアップしていきます。

しばらくは要観察ですが、問題なければそのまま。

問題があれば、これもその人が悪いわけではなくマネージャーの判断ミスと考えて、③層のグループの扱いに戻せばいいだけです。

マネジメントに教科書通りの正解はありません。

人材マネジメントには、人材個々の能力に応じた対応が求められるのは理解できますが、かといって大所帯だと一人一人に合わせて細かくサポートするにも限界があります。

そんな場合は、今回述べたような3パターンの人材に区切って対応のメリハリをつけることで、ベターなマネジメントができるのではないかと考えます。

おわり

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