- この記事を読んでほしい人
- ・Surface Laptopシリーズの進化を予想してみたい
・今あらためて、Surface Laptopシリーズの良いところを確認したい
この記事では、Microsoft社の主力ノートブック「Surface Laptopシリーズ」の今後の進化予想をしています。
2017年に本シリーズが誕生して約6年。
Surface Laptopシリーズは、ライバルであるApple社のMacBook Proに迫るべく認知度、シェアともに拡大しています。
まずはここで、執筆時点のSurface Laptopシリーズの最新モデルである「Surface Laptop 5」の基本スペックをおさらい。
さて、ここからどんな進化・変化が予想されるか考察してみましょう。
筆者が持つ、パソコン業界に長年身を置いている経験と、長年Surfaceシリーズをウォッチしてきた経験をベースにSurface Laptopの今後を考察します。
※主力である13.5インチモデルをメインに言及しています。
※Surface Laptop Go、Surface Laptop Studioは今回の考察から除いています。
筐体サイズとディスプレイサイズについて
モバイルノートブックの主流ディスプレイサイズは13.3~13.5インチです。
一方で、近年のプレミアムモバイルノートブックのカテゴリーでは、若干拡大した「14インチクラス」にシフトしつつあります。
メーカー モデル名 | ディスプレイ サイズ | 筐体寸法 (mm) | 重量 | 公式リンク |
Apple MacBookPro 14 | 14.2インチ | 312.6×221.2×15.5 | 約1.6kg | 詳細を見る |
Lenovo Yoga Slim970i | 14.0インチ | 314×214×14.9 | 約1.4kg | 詳細を見る |
FUJITSU LIFEBOOK UH-X | 14.0インチ | 308.8×209×17.3 | 758g~ ※構成による | 詳細を見る |
NEC LAVIE NEXTREME | 14.0インチ | 313×218×17.5 | 887g~ ※構成による | 詳細を見る |
Microsoft Surface Laptop5 | 13.5インチ | 308×223×14.5 | 約1.3kg | 詳細を見る |
これは、
ディスプレイの狭額縁化が進んだことで筐体サイズをほとんど変えることなく、ディスプレイサイズを最大化できるようになったからです。
狭額縁(Narrow)モデル:ディスプレイ表示面より外側のベゼル部面積が小さい構造
従来からあまり変わらない「持ち運びやすいサイズ感」と、従来よりも「比較的大きな表示エリア」を併せ持つ14インチは今後モバイルノートブックの主流となっていくでしょう。
さて、
本題のSurface Laptopは、現時点13.5インチと15インチの2サイズ展開です。
今後の筐体サイズ(ディスプレイサイズ)変化の予想は・・・
狭額縁タッチパネルが実用化されれば、14インチへサイズアップされる可能性が高い
理由としては、ライバルであるMacBookProが14.2インチと拡大しているためです。
Surface Laptopは、近年のクラムシェル型ノートブックとしてはあまり見られない強化カバーガラスタッチパネルを搭載しているのが特徴。
Windows OSとカバーガラス付きタッチパネルを搭載していることが、MacBookと戦うための大きな武器になります。
14インチクラスにサイズアップすれば、画面の大きさで購入を決める人のシェアをある程度奪うことができるでしょう。
ちなみに、下のような構造のタッチパネルを液晶ディスプレイに接着しています。
その構造上、ディスプレイ部の非表示エリア(ベゼル部)にタッチセンサーの配線を通す必要があるため、タッチパネル非搭載モデルやディスプレイにタッチセンサーを内蔵(インセルタイプ、オンセルタイプ)したモデルに比べて、外周部の面積が大きくなるという特徴があります。
(パネルサイズがが大きくなればなるほどセンサーの配線数が多くなるため、外周部の面積も増えてしまう)
例えば、タッチパネル非搭載のApple社MacBook Pro 14.2インチの左右辺のベゼル幅と比較すれば、その差は一目瞭然ですね。
ただ、強化ガラスでディスプレイが保護されているので、Surface Laptopのディスプレイ部の堅牢性は、このクラスでは最高レベルと言っていいと思います。
もし簡単に13.5インチからディスプレイサイズを拡大させるとすれば、
・タッチパネル非搭載とする
・強化ガラスタッチパネルの接着を廃止し、タッチセンサー内蔵ディスプレイを採用する
が考えられますが、Surface Laptopが他機種との差別化を図っている部分を安易に変更するとは思えません。
将来的に狭額縁の強化ガラスタッチパネル(微細配線パターン)が実用化されれば、筐体サイズをほぼ変えることなく表示エリアを広げることができるので、ディスプレイサイズ拡大の可能性が出てくるでしょう。
技術的な課題があると思いますが、MacBookProが14インチにシフトしているので近い将来には克服してくるものと考えます。
13.5→14インチクラスへの拡大が行われれば、現行の15インチとの棲み分けがあいまいになってしまうため、現行15インチは16インチクラスへ拡大されると予想します。
構造について
Surface Laptopの特徴である「タッチパネル搭載ディスプレイのクラムシェル型」&「アルミボディ」は変わらないでしょう。
LenovoのYogaシリーズのようなタブレットPCとしてもノートPCとしても使える2in1タイプは、すでにラインナップされているSurface Proシリーズが該当します。
Surface Laptopは、今後も「タッチパネルを搭載した王道のクラムシェル型」をセールスポイントとしてMacBookPro(またはMacBook Air)に対抗していくと思われます。
機能や性能について
CPU、GPUについて
基本的にIntelのCPUを活用していくことを考えると、Intel社のアップグレードにあわせて徐々に進化していく路線は従来通りでしょう。
Surface Pro9 5Gモデルに搭載されている、省電力に特化した独自開発CPU「Microsoft SQシリーズ」が今後Surface Laptopにも搭載されるかどうかですが、パワー不足のため従来通りのIntel製(またはAMD)CPU路線で行くと思われます。
また、
NVIDIA GeForce RTXシリーズなどの外部GPU搭載は、Surface Laptop Studioとの棲み分けのため設定されることはないでしょう。
Surface LaptopのCPUは、基本的に低消費電力寄りのグレードが搭載されています。
ハイパワー寄りのMacBook Proの「M2 Pro」や「M2 MAX」にはパワーでは到底勝てません。
今後もSurface LaptopにハイパワーCPUを搭載することはないでしょう。
CPU名称 | コア数 | TDP | 定格クロック | 最大クロック | 搭載機種 |
Apple M2 MAX | 12 | 45W | 3.5GHz | ー | MacBook Pro 2023 |
Apple M2 Pro(12コア) | 12 | 45W | 3.5GHz | ー | MacBook Pro 2023 |
Apple M2 Pro(10コア) | 10 | 45W | 3.5GHz | ー | MacBook Pro 2023 |
Intel Core i7 11370H | 4 | 35W | 3.3GHz | 4.8GHz | Surface Laptop Studio |
Intel Core i7 1255U | 10 | 15W | 1.7GHz | 4.7GHz | Surface Laptop 5 |
Intel Core i5 1235U | 10 | 15W | 1.3GHz | 4.4GHz | Surface Laptop 5 |
ここで豆知識です。
IntelのノートPC向けCPUの名称は、以下のように末尾のアルファベットによってランク分けされます。
H:ハイパフォーマンス、高消費電力
P:中間レベルのパフォーマンス、中間の消費電力
U:低めのパフォーマンス、低消費電力
重めの画像や動画編集などのクリエイター機として使う用途なら、ハイパワー型CPUとNVIDIA社のGPUを搭載した「Surface Laptop Studio」が選択肢となるでしょう。
本題から少しそれますが、
Surface Laptop Studioも近い将来で「M2 Pro」に匹敵するCPUアップグレードがあるでしょう。
エントリー~ライトユーザー向け「Surface Laptop」と、クリエイターやゲーマーなどのハードユーザー向け「Surface Laptop Studio」の2タイプでMacBook Pro包囲網を敷くものと考えられます。
ディスプレイについて
すでに述べましたが、13.5インチ → 14インチクラスに拡大するかどうかは、Microsoft社のタッチパネル技術次第でしょう。
タッチパネルが狭額縁(Narrow Bezel)となっても、今以上の指タッチやペン描画の精度を持つのであれば拡大の可能性は高いです。
現行Surface Laptop5は、MacBook Proのディスプレイ解像度より劣っているので、拡大となればそのタイミングで解像度アップもあるでしょう。
比較対象 | メーカー | 画面サイズ | ディスプレイ画素数 横×縦のpixel数 | 画素密度の高さ ppi(pixel/inch) |
Surface Laptop 5 13.5インチ | Microsoft | 13.5インチ | 2,256 x 1,504 | 201 |
Surface Laptop 5 15インチ | Microsoft | 15インチ | 2,496 x 1,664 | 201 |
MacBook Pro 14 | Apple | 14.2インチ | 3,024 x 1,964 | 254 |
MacBook Pro 16 | Apple | 16.2インチ | 3,456 x 2,234 | 254 |
Surface Pro9 | Microsoft | 13インチ | 2,880 x 1,920 | 267 |
iPad Pro | Apple | 12.9インチ | 2,732 x 2,048 | 264 |
一般的な高画質モデル | ー | 13.3インチ | 1,920 x 1,080 (フルHD) | 166 |
またMacBook Pro(2023年モデル)でも実装された「最大リフレッシュレート120Hz」は、次期Surface Laptopでは搭載してくるんじゃないでしょうか。(Surface ProシリーズはPro 8以降で対応済み)
MacBook Proでは2023年モデルでディスプレイが大きく改良されているので、Surface Laptopとしても早急にディスプレイ性能のテコ入れをしてくると考えられます。
有機ELディスプレイの対応は、タッチパネルのタッチ精度とのマッチングを考慮しながら裏で検討しているかもしれませんが、当面はないと思っています。
メモリやSSDについて
メモリやSSDといった部品は、基本的に他のメーカーと同じもの(主にSAMSUNG製)を使用しています。
部品側の進化にあわせて、徐々に高速化、大容量化が進んでいくでしょう。
つまり、他社のWindowsプレミアムノートブックと同じようなアップグレードとなっていくということです。
セキュリティ、その他について
セキュリティ、その他の機能についてです。
本人認証については、従来通りWindows Helloカメラによる顔認証が継続でしょう。
今後は「Surface Laptop Go」で搭載された指紋認証モジュール搭載があるかどうかは半々ですね…。
外部インターフェースについては、USB-TypeCポート数が増える可能性は高いです。
一方、HDMI端子やSDカードスロットなどの新規インターフェース追加の可能性は極めて低いでしょう。
まとめ
Surface Laptop(13.5、15インチ)シリーズの近い将来の予想をまとめます。
- 筐体サイズ
- ・狭額縁タッチパネルを搭載し、13.5→14インチクラスへ拡大する可能性あり
・14インチクラスへの拡大にあわせて、15→16インチクラスへ拡大する可能性大 - 構造について
- ・クラムシェル型+カバーガラスタッチパネル搭載のスタイルは堅持される
- 機能、性能について
- ・CPU
Intel(またはAMD)の低消費電力グレードが引き続き搭載される
Microsoft SQシリーズ搭載の可能性は低い(Laptop Goシリーズへの搭載はあり得る)
・ディスプレイ
最大リフレッシュレート120Hz対応の可能性が高い
解像度アップなどのテコ入れの可能性が高い(有機ELは当面なさそう)
・その他
USB-TypeCポート数が増加する可能性は高い
(HDMIやSDカードスロットの搭載はなさそう) - Surface Laptopの位置づけ
- MacBook Pro(またはMacBook Air)の対抗馬として、以下の位置づけを当面キープ
オーソドックスなクラムシェル型+カバーガラス付きタッチパネル+高いペン描画性能+MacBook Proより安価な設定のプレミアムノートブックとして、エントリー~ライトユーザーにアピール
イラスト作成や動画編集などのクリエイター、ゲーマーなどのハードユーザー向けにはSurface Laptop Studioでカバー
おわり
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